September 6, 2018 / 8:22 AM / 13 days ago

インタビュー:消費増税に反対、10兆円超対策の継続を=内閣参与

[東京 6日 ロイター] - 自民党総裁選が7日に告示され、今後3年間の政権運営を巡り、本格的な論戦がスタートする。北海道の地震発生を踏まえ、政策を訴える選挙活動は9日まで自粛となる見通しだが、20日の投開票後には、直面する政策課題への「待ったなし」の対応が求められる。課題にどう取り組むべきか、専門家へのインタビューシリーズを実施する。

 9月6日、藤井聡・内閣官房参与(京都大学教授)は、来年秋に予定されている10%への消費税率引き上げは、心理的影響が大きく、個人消費を大幅に落ち込ませることになるため反対だとの意向を示した。写真は昨年6月撮影(2018年 ロイター/Thomas White)

初回は、積極財政が持論の藤井聡・内閣官房参与(京都大学教授)に、実現すべき財政政策のイメージや具体的な対策について聞いた。

藤井氏は、来年秋に予定されている10%への消費税率引き上げは、心理的影響が大きく、反対だとの意向を示した。実施するなら10─15兆円の経済対策を5年程度、見送りの場合でも、同規模の対策を2年間継続する必要があると主張した。

また、対策の内容の柱の1つに、大規模災害が多発する最近の環境変化を踏まえ、治山・治水を中核にした大型災害対策が必要だとの見解も示した。

インタビューの詳細は以下の通り。

──来年秋に10%への消費税率が控えている。実施の是非をどうみているか。

「消費税の10%への引き上げは、恐ろしい結果になると確信している。京大で心理学実験を行った結果、10%という負担感が誰でも計算できる分、購買意欲の減退はとりわけ大きいことが分かった」

「特に女性においてその影響は大きい。2%増税は影響は軽微といわれているが、心理的な影響だけでも深刻だ。加えて2%分の物価上昇という影響が加わり、消費は相当落ち込む」

「しかも、影響は短期的ではなく、長期に続く。このことは5%、8%への増税時を見ても明らかだ」

──安倍首相は、増税実施の方針を示すと同時に、来年度予算で万全の対策をとる意向を示している。どの程度の規模感の対策が必要か。

「骨太の方針では、10%への税率引き上げの影響の程度を踏まえると書かれている。さらに経済状況を踏まえるとも書かれている。先に述べたように、増税の影響が甚大であることに加え、経済状況は14年の消費増税の影響が残存し、今後はオリンピックの特需剥落や残業代の縮小、米経済等の海外の景気悪化などが予想される。これを凌駕するには、毎年10─15兆円の超大型の経済対策を4、5年継続する必要がある」

──つまり経済状況を踏まえる場合、増税を中止した場合でも、大型対策が必要ということか。

「前回増税の影響が残存しており、前年度のデフレーターの上昇率はたった0.1%と、デフレ脱却から程遠い状況。これに残業代減少や五輪特需剥落が来年度は加わるわけで、10%増税がなくとも、10―15兆円の大型景気対策を2年前後は継続する必要があるだろう」

「逆に言うなら、政府がそのような大型予算が組めずに、消費増税をやれば、日本経済の激しい凋落と、さらなる財政悪化は避けられないだろう」

──それだけの大型対策となると、対策の中身は何が中心となるのか。

「内容としては、骨太に書かれているように、将来の成長基盤となる波及効果の高い投資プロジェクトを計画的に実施するという基本方針通りでよい」

──このところ続いている大規模災害や気候変動に備える対策として、国土強靭化などが入るのか。

「西日本豪雨と今回の台風21号の高潮被害を踏まえれば、治山、治水対策は喫緊の課題だ。さらに土木学会は南海トラフ地震で1000兆円を超える被害が生ずると試算している。災害対策が不十分であれば、将来の成長基盤自体が破壊される。だから、国債に基づく大型かつ速やかな災害対策は、骨太2018の将来の成長を確保するための投資をすべしとの理念にかなう重要案件と言えよう」

──大型経済対策を実施するための財源は、どのように調達するのか。その場合、財政再建の遅れにはどう対処するのか。

「歳出拡大のための財源は、長期投資には常識的に建設国債や財投債を充てるべき。この場合、当然ながら基礎的財政収支(PB)の黒字化目標は達成できないが、そもそもPB目標は廃止すべきだ。あるいは、将来世代が受益する投資案件はPB規律外とすべきだ。もっとも、超大型財政政策継続を続ければ、デフレを完全脱却できる。その結果、PB黒字化目標も達成可能だ」

「デフレ脱却には、これまでの財政緊縮・金融緩和政策では失敗した。財政を拡大することが本筋のはずだ」

──現在、歳出の中身は社会保障費のウエートが突出している。成長に寄与する項目のウエートを高める必要があるのではないか。

「社会保障費はどうしても拡大せざるを得ないので、削るというよりは、従来通り査定をかけて抑制していけばいい。一方で、長期的投資は毎年2─3兆円ずつ拡大していくことで、歳出におけるバランスが変わってくるはずだ。そうやって全体の歳出のパイは拡大していけばいい」

「このように、歳出も税も、より成長できる仕組みに変えるということが必要だ。税については、経済停滞効果の大きい消費税に代わって、直接税の比率を上げるべく、所得税、法人税や金融所得税などをいく分上げて、直間比率を変えていくことは必要」

*このインタビューは5日に行いました。

*内容を追加します。

中川泉 編集:田巻一彦

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