[オタワ 10日 ロイター] - カナダ統計局が10日発表した2月の雇用者数は前月比2万1800人増で、ロイターがまとめた市場予想の1万人増を上回る伸びとなった。1月は15万人増だった。
失業率は5.1%に上昇するとの予想に反して横ばいの5.0%。平均時給は前年比5.4%増と、1月の4.5%増から伸びが加速した。
これらのデータを受け、カナダ銀行(中央銀行)はいったん休止した利上げの再開検討を迫られる可能性が出てきた。
デジャルダンのマクロ戦略責任者ロイス・メンデス氏は特に賃金上昇加速を挙げて「労働市場がカナダ銀行の想定に沿って推移していないことを示す材料が蓄積されつつある。市場は再利上げを高い確率で織り込み続けるだろう」と述べた。
カナダ銀行は8日、政策金利を4.5%に据え置き、昨年のインフレ加速以降に主要中銀として初めて利上げサイクルを停止させた。また今後再利上げする必要があるかどうか、経済データを注視していくとも表明している。
9日にはロジャース上級副総裁が、労働市場が「信じられないほど引き締まっている」と指摘し、カナダ経済は依然として需要超過状態にあると警戒感を示した。
BMOキャピタル・マーケッツのチーフエコノミスト、ダグ・ポーター氏は「これまでのところ労働市場が過去1年の急激な利上げに屈した兆しは全く見えない。この先期待外れのインフレ指標が出てくれば、カナダ銀行はほぼ確実に再び利上げする」と予想した。
短期金融市場で、カナダ銀行が年内に再利上げに動く確率の想定は約65%と、2月雇用統計発表前の80%から低下した。ただこれは、米2月雇用統計で賃金の伸びが鈍化したことや、シリコンバレー銀行破綻に伴う安全資産逃避で金利が低下した影響が関係したとみられている。
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