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焦点:G20後も金融政策頼みの世界経済、副作用には懸念の声
2016年2月29日 / 01:30 / 2年前

焦点:G20後も金融政策頼みの世界経済、副作用には懸念の声

[フランクフルト/東京 28日 ロイター] - 上海で開かれていた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は予想通り、大胆な政策を打ち出すことで合意できなかった。これにより、世界経済の活性化に向けて主要中央銀行が大きな責任を背負うことになるのは間違いないが、当局者や銀行関係者の間からは、金融政策の手段はもう出尽くし、これ以上の刺激策は有害にさえなりかねないとの声が出ている。

 2月28日、上海で開かれていた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は予想通り、大胆な政策を打ち出すことで合意できなかった。写真は会場の様子。上海で25日撮影(2016年 ロイター/Aly Song)

ドイツのショイブレ財務相は「金融政策は極端に緩和的になり、銀行や各種政策、経済成長への悪影響をもたらすという面で逆効果を生む地点にまで達している。財政・金融政策は限界に達した。実体経済の成長を望むなら、改革を避けて通れるような近道は存在しない」と断言した。

先進国の中銀は金融危機の後遺症と低成長が普通になった事態に対応し、政策金利をゼロもしくはマイナスまで引き下げ、政府が改革に取り組むのを待った。しかし今のところ中銀の期待通りの状況にはなっていない。

マイナス金利の先鞭をつけたのはスイスやスウェーデン、デンマークなどの中銀で、欧州中央銀行(ECB)と日銀が追随したものの、足元ではさまざまな副作用も生じている。

<リスク増大>

日銀の木内登英審議委員は「技術的に追加策が可能かということと、実際に妥当な緩和策があるかは別の話だ。コストを十分に上回るだけのメリットがある政策を打ち出すのは難しくなってきている」と語り、日銀は1月下旬にマイナス金利を導入した時点でもはや次に打つ手がなくなってきたのではないかとの考えをにじませた。

こうした日銀の利下げで国債利回りはマイナス圏にまで低下したものの、株価は浮上せず、日本経済にとって望ましくない円高も阻止できなかった。つまり日銀は目標を達成できていないということだ。

非伝統的な金融政策の世界では、追加的な措置を打ち出すにつれて効果は減っていき、リスクを増大させてしまう。

スイス国立銀行(中銀)のジョルダン総裁は「手段は無制限というわけではない。金融政策手段の効果はデュレーションが延びて投入規模が拡大するごとに弱まっていく。金利のマイナス幅が拡大し続ければ、いつかはキャッシュへの逃避を引き起こさずにはいられない」と述べた。

<最後の手段>

低金利と、非伝統的政策の主軸になる中銀の大規模な資産購入は、住宅を中心にした資産バブルを醸成するばかりでなく、低コストによる資金調達が可能になることで本来は市場から退出すべき「ゾンビ企業」を存続させてその国の競争力をじわじわ低下させる。

銀行の利益も低金利で圧迫されて最終的に貸出能力が損なわれるし、量的緩和は市場機能を破壊し、流動性が低下する。

中国、日本、ユーロ圏、スイスの各中銀がいずれも自国通貨下落を望んで通貨安競争のリスクが台頭しており、通貨安を通じて物価を押し上げることができにくくなっている。

アリアンツのチーフエコノミスト、ミヒャエル・ハイセ氏は「中銀は自身の戦略を考え直すべきだ。中銀の力は限られている。われわれは問題解決のために中銀に過度に依存してきたが、もはや問題を中銀がコントロールできていない」と指摘する。

実際、足元の新興国経済減速や原油安に起因するショックに対応するのは難しく、ユーロ圏ではECBの大規模緩和にもかかわらず景況感関連指標から経済成長が打撃を受けていることがうかがえる。

今こそ財政政策の出番と言えるが、G20では財政を活用できる政府はごくわずかにすぎないことが鮮明になり、ドイツなど財政出動可能な国もその意思がないことをはっきり示した。

そうなるとやはり中銀が引き続き矢面に立つしかなくなる。再び世界的な金融危機が再燃するようなら、論争を巻き起こし、法的な妥当性にも疑問がつくリスクがあるが、なおいくつかの強力な措置を打ち出せないこともない。

エコノミストによると例えば、中銀が民間銀行に対してマイナス金利での貸し出しを強制して経済成長と投資を刺激し、見返りに銀行に利益を保証する手が考えられる。その代わり、中銀は大幅な損失を引き受けざるを得ない。

最後の手段としては、中銀が消費促進や物価押し上げを狙って国民に直接資金を配る「ヘリコプターマネー」もある。

もっともユーロ圏の場合は、ドイツで資産購入でさえ裁判で合法性が争われている点を考えれば、こうした過激な手段に対しては長年にわたって法的、政治的に反対する動きが続く公算が大きい。

(Balazs Korany、Leika Kihara記者)

*写真を差し替えました。

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