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訂正-焦点:来週は欧米3中銀の会合集中、市場との対話が今年最大のヤマ場

(原文の訂正により2段落目のBOEの会合日を「11月5日」から「11月4日」に修正します)

12月6日、今年を通じて中央銀行が発する政策メッセージを読み解くのに苦労してきた金融市場にとって、最大のヤマ場がまだ残っている。写真は2019年7月、パウエルFRB議長の記者会見をテレビで見るニューヨーク証券取引所のスタッフら(2021年 ロイター/Brendan McDermid)

[ロンドン 6日 ロイター] - 今年を通じて中央銀行が発する政策メッセージを読み解くのに苦労してきた金融市場にとって、最大のヤマ場がまだ残っている。来週14日から16日にかけて、米連邦準備理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)、イングランド銀行(BOE)が相次いで会合を開くからだ。

これらは、中銀がさまざまな市場の混乱を生んできた今年を締めくくるイベントになる。最近起きた混乱の例としては、BOEが11月4日(訂正)の会合で利上げ予想に反して政策金利を据え置いたことや、ECBが10月に微妙な形で利上げを否定したこと、オーストラリア準備銀行(RBA)による利回り目標維持の失敗などが挙げられる。

だから一連の会合まで1週間程度になった今、通貨や債券をはじめ各種資産のボラティリティー指標が上昇しているのも不思議ではない。

15日1800GMTにはまずFRBが連邦公開市場委員会(FOMC)の声明を公表し、債券買い入れ縮小(テーパリング)の加速とともに、今後の利上げ方針に関する見解を明らかにするかもしれない。次いで16日にはBOEが、それから1時間足らずでECBもそれぞれ政策決定について発表する予定だ。

金融政策の意図を伝えるというのは、本来の性質からしてどうしても不正確になりがちな作業と言える。足元では物価が予想外に高止まりし、供給網の制約が景気回復を妨げる恐れがあるほか、新型コロナウイルスは常に脅威として背景に存在するため、特に決定結果のメッセージをモデル化するのはひときわ難しい。

ノーザン・トラストのチーフエコノミストで2008年の金融危機時にFRBのリスク部門で働いていたカール・タンネンバウム氏は「ラガルド(ECB総裁)、ベイリー(BOE総裁)、パウエル(FRB議長)の誰にとっても、現在の環境は中銀が市場との対話を進める上で最悪の試練を作り出している」と指摘した。

タンネンバウム氏は、今回の3中銀の会合で、とりわけ労働市場とインフレについて「これまでよりもずっと率直な、包括的な議論」が生まれてほしいと期待している。

投資家からは、綱渡りの対話に従事する中銀当局者らが近年、市場の存在感が大きくなったことでかつてよりもずっと厳しい状況に置かれていることに同情する声も聞かれる。世界全体の株式時価総額は100兆ドルに迫り、コロナ禍前のほぼ2倍に拡大。政府の大規模な財政支出は債券市場を膨張させた。取引は非常に高い価格で行われ、調整に見舞われるリスクは極めて大きい。

さらに政策シグナルの影響は市場を越えて波及する。例えば英銀は11月の利上げを確信していたため、BOEの会合前に国内の住宅ローン金利引き上げに動いた。

中銀に必要とされる任務は単純明快だ。つまり短期的には求められる政策支援を実行し、長期的には物価安定を目指す。ところが活況を呈する市場は瞬時に地合いが変化する以上、こうした任務は見た目よりも困難を伴う。

そして時にはシグナル発信の戦略見直しを促すかもしれない。BOEのベイリー総裁は、ガイダンスなしの政策運営に戻ることさえ示唆している。

元BOEエコノミストで、BNPパリバ・アセット・マネジメントのマクロ調査責任者、リチャード・バーウェル氏は、各中銀は金融引き締めの選択肢を保持しつつ、確実な約束はしないやり方を好ましいと考えるとの見方を示した。引き締めの選択肢を創出し、市場にその選択肢が行使されるのは確実だと納得させながら、混乱を引き起こさないことが課題だという。

<高評価のパウエル氏>

バーウェル氏によると、今月中に金融引き締めを開始しようとする中銀は、新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」を踏まえて決定内容を説明しなければならず、そうすると市場がその先の利上げの織り込みをやめてしまうリスクが出てくる。

同氏が特に問題視するのはBOEのベイリー総裁で、英国の童謡「偉大な老ヨーク大公」が描く無駄な努力がそのまま政策運営に当てはまると指摘。「政策担当者が市場を利上げの頂まで行進させることができる回数には限りがあり、結局また市場を『麓』まで下ろすことになる」と述べた。

英メディアは早速、ベイリー氏を「不実なボーイフレンドの2代目」と名付けた。1代目は、しばしば政策シグナルを実行に移さなかったカーニー前総裁が襲名している。

ECBのラガルド総裁も、10月に市場が織り込んでいた来年の利上げを中途半端な態度で否定したことでユーロ高と債券安を招いたとして批判を集めた。その1週間後、ラガルド氏が利上げを全面的に否定すると、これらの値動きは反転した。

FRBのパウエル議長は、市場との対話で最も高い得点をもらっているように見受けられる。全ての答えを持っているわけでないと認めている点も、もちろん評価されている。そのパウエル氏でさえ、最近は動揺の気配が見える。議会証言でオミクロン株が景気回復を損なう恐れがあると発言した数日後には、現在の物価高を一過性と表現するのをやめる時期かもしれないと示唆したからだ。

それでもステート・ストリートの欧州・中東・アフリカ地域マクロ戦略責任者、ティモシー・グラフ氏は、パウエル氏の「誠実さと率直さ」を称賛し、2011-12年のユーロ圏債務危機を乗り切って名を上げたドラギ前ECB総裁に匹敵するとの見方を示した。

グラフ氏は「FRBは、それが正しいか間違いかはともかくとして、物価情勢についてある程度楽観的と見なされた今年序盤の姿勢から軌道修正を図っているところだ」と解説した。

(Dhara Ranasinghe記者、Sujata Rao記者)

*原文の訂正により2段落目のBOEの会合日を「11月5日」から「11月4日」に修正します

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