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アングル:主要中銀、相次ぐトップの任期到来で迎える正念場
2017年10月17日 / 04:32 / 1ヶ月後

アングル:主要中銀、相次ぐトップの任期到来で迎える正念場

[ワシントン 16日 ロイター] - 世界の主要中央銀行トップは、来年に米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長、日銀の黒田東彦総裁、中国人民銀行の周小川総裁が、翌2019年には欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が任期を迎え、もしかすると軒並み新顔に交代するかもしれない。

 10月16日、世界の主要中央銀行トップは、来年に米連邦準備理事会のイエレン議長、日銀の黒田東彦総裁、中国人民銀行の周小川総裁が、翌2019年には欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が任期を迎え、もしかすると軒並み新顔に交代するかもしれない。写真は8月、ワイオミング州ジャクソンホールの会合に出席した(左から)黒田氏、イエレン氏、ドラギ氏(2017年 ロイター/Jade Barker)

いずれにしても次の中銀トップは、2007─09年の金融危機とその直後の経済の落ち込みがもたらした事態の後始末をつけなければならない上に、政治的な圧力や新技術出現に伴う試練にさらされることになるだろう。

まずはFRBと日銀、ECBが景気を支えるためにそれぞれ購入した10兆ドル前後もの債券がまだバランスシートに残っており、これを縮小する必要がある。だが世界的に物価上昇力や経済成長はなお弱く、金融政策の正常化はなかなか難しい。中国や欧州は構造改革の途中だし、ナショナリズムの台頭によって中銀の独立性は損なわれかねない。さらに仮想通貨の普及などが、中銀の金融システムをコントロールする力を弱めてしまう恐れもある。

中銀トップが代われば、政策が予測不能な方向に振れてしまう可能性が出てくる。中国の習近平国家主席は、2002年から人民銀行総裁として改革を主導してきたとみなされている周小川氏の後任に、省政府高官を起用することを検討している。しかし、こうした改革は周小川氏なくしては成功しないかもしれない。

米国ではトランプ大統領が、来年2月に任期満了となるイエレン氏の後釜を決める機会をとらえて、FRBに「米国第一」の考えを注入しようとするだろう。

「衝撃と畏怖」による大規模緩和で日本を長年の停滞から救い出したとの見方も一時はあった日銀の黒田総裁の任期は来年4月。経済は成長を続ける見通しだが、物価上昇率は以前として目標には程遠く、政策効果への疑問は次第に高まりつつある。

ECBのドラギ氏は19年終盤まで任期が残っている。それでも英国の欧州連合(EU)離脱や、ドイツと他の欧州諸国との利害統一方法などを巡って、後任人事の駆け引きが緊迫化が懸念される。ピーターソン国際経済研究所のアダム・ポーゼン所長は「欧州が政治的にも経済的にも分断化されている現状を踏まえると、ECBの動きは激変し得る」と予想した。

<新たな課題>

もちろんある程度政策が継続される展開も考えられる。イエレン氏、さらに特に黒田氏は再任されてもおかしくない。また人民銀行の次期総裁候補の1人には、周小川氏と同じ改革推進派から選ばれている。

ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)のダイセルブルーム議長はロイターに「日米中の中銀トップ3人すべてが退任するかどうかは分からない。一般的に言って、経験を失うのは常に1つのリスクだ」と語った。

それでも米中の中銀に関しては、トップが代わってより内向き志向になる確率の方が今のところは高いように思われる。

周小川氏の後継者は、市場機能に基づく政策への移行をどの程度積極的に継続するか、あるいは地方政府や企業の不良債権をどうやって処理していくかを直ちに決めなければならない。

米国の場合、イエレン氏の後継候補の何人かは金利政策や物価認識、深刻な経済の落ち込みへの対応法などで同氏の意見とは異なっている。前日銀審議委員の白井さゆり氏は、FRBが実質ゼロ金利と量的緩和モードからより着実に引き締めに動く態勢にうまく切り替えられたのは、イエレン氏の政策手腕と対話能力がすぐれていた何よりの証拠だと指摘。事態が平穏だったのは、イエレン氏の指導力の下でFRBの市場との対話能力が改善したことが原因だとの見方を示した。

一方で元FRB幹部のビンセント・ラインハート氏は、既に主要中銀は今のトップがさまざまな問題に取り組み、後任に円滑に職務を引き継げるようにしているとみている。

例えばFRBは、トランプ氏が誰を次期議長に指名したとしても、少なくとも出発点としては「緩やかな」金利調整とバランスシート圧縮方針に則らざるを得ない。

ただし、新たな問題を警戒する仕事は次期トップに委ねられる。金融規制はまだ整備途上にある。どの国の政府も膨れ上がった債務や義務的歳出の削減には消極的に見えるし、働き方や賃金体系の変化にはきっちりと正面から取り組んでこなかった。

ポーゼン氏は、物価や金利水準が引き続き非常に低く、政府が有効に機能しない上に各国間の金融的な結びつきが「とても深く複雑」な状況にあって、これから登場する中銀の政策担当者には、過去に効果が証明された政策手段を手にすることができないと警告する。

同氏は「われわれにはまだ、これらの問題に対処するための適切な手段や考え方は持ち合わせていない」と話した。

(Howard Schneider、Leika Kihara記者)

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