for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up
コラム

コラム:日米関係強化、中国の対日投資は「冬の時代」に

[香港 23日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 日本企業の中国投資家との関係は、もうすでに暗礁に乗り上げているのかもしれない。中国の騰訊控股(テンセント・ホールディングス)子会社による楽天グループの3.65%株取得は、中国による対日投資の直近の事例だ。しかし、この小規模な案件は監視の対象になっている。中国に対する日米政府の姿勢が厳しさを増す中、日中企業の提携の動きが盛り上がることはなさそうだ。

 4月23日、 日本企業の中国投資家との関係は、もうすでに暗礁に乗り上げているのかもしれない。写真は日本と中国の国旗。北京で2018年10月撮影(2021年 ロイター/Thomas Peter)

中国のディールメーカーは歴史的に、日本を敬遠してきた。要因の1つは、相互の政治的、文化的な不信感だ。また、中国の国有企業は資源系の買収を好む傾向にあるが、日本には対象になる企業が少ないことも一因だろう。ディールロジックによると、2015年─20年の対日ディール(740億ドル)のうち、中国本土企業が占める割合は6%に過ぎない。中国の消費者やサプライチェーンは、トヨタ自動車やユニクロなどのブランドの業績に多大な貢献をしている。ただ、日本による中国への直接投資が2019年に140億ドル超だったのに対して、その逆はわずか40億ドルにとどまっている。

それでも、2018年の2倍超の水準だ。特に自動車やロボット工学、ビデオゲームなどのセクターで、関係をリバランスすべき商業的に強い理由がある。例えば、香港と深センに上場するハイセンス・ホーム・アプライアンスは3月、自動車部品メーカーのサンデン買収を発表、ハイセンスにとってこの3年で2社目の日本企業買収となった。その後間もなくテンセントの楽天出資が明らかになった。テンセント幹部は、楽天との「戦略的な協力」に期待感を示した。

それが実現する見込みは薄い。共同通信が関係筋の話として伝えたところでは、日米両政府は、経済安全保障の観点から、テンセントと楽天の提携を共同で監視する方針だという。先月には、通信アプリ大手「LINE」の利用者情報が中国の関連会社から閲覧可能になっていた問題が浮上した。楽天の電子商取引、決済、通信事業は機密性の高い情報を扱っている。楽天はまた、米連邦預金保険公社(FDIC)に対して、米国での銀行業務を申請している。

日本は最近、外国からの投資に関する規制を強化した。ただし、取締役派遣や非公開技術へのアクセスを求めない買い手については適用が除外されており、テンセント子会社による楽天株取得は認可不要なはずだ。にもかかわらず、その取引は監視下に置かれることになった。それを見て、中国の他の投資家は及び腰になるかもしれない。

バイデン米大統領と菅義偉首相は、台湾から香港まで幅広い問題について、協調姿勢を打ち出した。日米関係が深まれば深まるほど、中国の対日投資は冷え込むことだろう。

●背景となるニュース

*共同通信は4月20日、日米両政府はテンセント子会社が大株主になった楽天グループを共同で監視する方針を固めたと報じた。テンセントを通じ、日米の顧客情報が中国に流出することを警戒したという。

*共同は、日本政府が外為法に基づき楽天から定期的に聞き取り調査し、米当局と内容を共有することで、中国への情報流出リスクに連携して対処すると伝えている。

*楽天グループと日本郵政グループは3月12日、資本・業務提携で合意したと発表。日本郵政の他、テンセントの子会社などが引受先となり、楽天は合計で約2400億円を調達する。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up