[セロ・ラス・カンパナス(チリ) 14日 ロイター] - 南米チリはこの30年で天文学の最先端拠点としての地位を築き上げた。北部に広がるアタカマ砂漠は、湿度が低く気流が安定しているため、ハイテク望遠鏡を設置するには絶好の環境。2020年までに世界の天文観測施設の約70%がこの国に集まる見通しだ。
ところが、近隣都市の発展や観光客の急増につれ、照明による「光害」が急速に広まったことに、科学者らは危機感を抱く。
ラス・カンパナス天文台で計画中の世界最大の「巨大マゼラン望遠鏡」から約1700メートル下方に位置するハイウェイ沿いには、新たに設置された街灯が煌々と光を放っている。チリ大学の天文学教授は「なぜアンデス山脈をライトアップする必要があるのか」と話す。
巨大マゼラン望遠鏡財団のパトリック・マッカーシー総裁は「都市やハイウェイが発達すると、最も見えにくいものは忘れ去られてしまう。しかし、われわれはそもそも、最も見えにくいもののために望遠鏡を設置しているのだ」と語った。
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