August 11, 2015 / 8:46 AM / 4 years ago

高値目前の日本株に冷水、人民元切り下げで利益確定売り

[東京 11日 ロイター] - 18年ぶり高値を視界に捉えていた日本株に冷や水が浴びせられた。中国が人民元を約2%切り下げ、いわゆるインバウンド消費への懸念が台頭。小売業など関連株が下落した。企業業績の拡大期待は根強く、単なる利益確定売りとの指摘もあるが、過熱感も強かった銘柄が多かっただけに、調整幅も大きくなっている。

 8月11日、18年ぶり高値を視界に捉えていた日本株に冷や水が浴びせられた。中国が人民元を約2%切り下げ、いわゆるインバウンド消費への懸念が台頭。小売業など関連株が下落した。都内で6月撮影(2015年 ロイター/Thomas Peter)

<高値から一時350円下落>

まさに「冷や水」だった。11日午前の市場で、日経平均.N225は2万0946円まで上昇、約18年8カ月ぶりとなる高値水準にあと6円まで接近した。しかし、午前10時過ぎに人民元の切り下げが明らかになると一気に軟化、一時350円を超える下落となった。

人民元切り下げで中国の輸出産業が回復し、中国の景気が持ち直せば日本企業にとっても悪いことではない。人民元建ての貿易契約も少なく、日本の輸出入への影響は限定的だ。それよりも需要や投資が回復してくれた方が日本企業にとってメリットがあるだろう。

それにもかかわらず、ここまで株価反応が大きくなったのは、日本株に過熱感が強かったためだとの見方が多い。

年初から前日までの上昇率は、日経平均が19.2%上昇。米ダウ.DJIはマイナス1.1%、独DAX.GDAXIはプラス18.3%と、日本株がトップ。17日発表予定の4─6月期国内総生産(GDP)はマイナス成長との予測が多いなかでの株高に、市場でも「ちょっとやりすぎ」(国内証券)との声が多くなっていた。

個別でみて大きく下げたのは、資生堂(4911.T)やコーセー(4922.T)、三越伊勢丹ホールディングス(3099.T)などインバウンド消費関連株。人民元が下落し、相対的に円が高くなれば、インバウンドを支えていた円安効果がはく落するとの見方からだ。

だが、各銘柄の予想株価収益率(PER)が33─114倍と日経平均の16倍台後半を大きく上回り、過熱感が強くなっていたことも特徴だ。

フィデリティ・ソリューションズの10日付リポートは、日本市場を選好しているとしながらも、最近の株価上昇によって、日本株のオーバーウエート幅を縮小させたことを明らかにしている。

<業績期待が日本株下支え>

市場では、日本企業の業績期待は根強い。みずほ証券リサーチ&コンサルティングが集計した8月7日までの東証1部企業(除く金融)の4─6月期決算状況では、1264社中1132社(89.3%、時価総額ベースでは97.3%)が発表を終え、売上高は前年比4.6%増、営業利益は23.7%増、純利益40.7%増となっている。

「ここまで強いとは思っていなかった。業績期待が日本株高を支える大きな要因だ」と、メリルリンチ日本証券・チーフ日本株ストラテジストの阿部健児氏は話す。

一方、トムソン・ロイターの調査によると、米S&P500企業の4─6月期決算は前年同期比で1.6%の増益となる見通し。「日本上場企業の足元の高い増益率は、海外企業との比較で魅力的」(外資系証券)という。

人民元切り下げでインバウンド関連株は軟調だったが、コマツ(6301.T)など中国投資関連株は堅調だった。人民元切り下げが日本株すべてにマイナスと受け止められているわけではない。11日の日経平均は、引けにかけて87円安まで下げ幅を縮小した。

人民銀行は、今回の措置について「一度限りの切り下げ」と説明している。足元の人民元は日本の円に対し、2012年9月ごろの水準から約60%上昇しており、2%程度の人民元安・円高であれば、日本旅行への影響は限定的となりそうだ。

<人民元の再切り下げを早くも警戒>

しかし、市場では、中国の景気が回復しなければ、再度の人民元切り下げがあるかもしれないとの警戒感が早くも出ている。

松井証券・シニアマーケットアナリストの窪田朋一郎氏は、切り下げが2%と小幅で終わるとは思えないと指摘。「切り下げが一段と進めば、日本のインバウンド需要が後退し、これまで上昇してきた関連銘柄への利食い売りが強まりかねない」と話す。

また、市場の業績期待感は強いが、通期見通しが大きく上方修正されたわけではない。足元の日経平均の予想1株利益は、1250円程度と決算発表前の1カ月前より約20円減少している。

第1・四半期終了時点で通期の16年3月期業績予想を上方修正した企業は、現時点で全体の4.1%(みずほ証券R&C調べ、社数ベース、経常利益)。昨年の5.6%からわずかながら減っている(下方修正は昨年の3.0%に対して、今年は2.6%)。

通期予想に対する4─6月期の業績進ちょく率(除く金融)をみると、純利益では29.0%と高いが、売上高では23.6%に過ぎない。円安と原油安とインバウンド効果に支えられた増益だけに、通貨動向の変化には今後も神経質な反応になりそうだ。

(伊賀大記 編集:田巻一彦)

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