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コラム

コラム:100周年迎える中国共産党、問題は創造性の欠如

[香港 30日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国共産党は今週、結党100周年を迎える。上海のフランス租界で創建されてから1世紀がたつが、国内でこれほどまでに人気が高く、一方で海外ではこれほど嫌われたことはかつてない。共産党指導者は支配が巧みで、野心に満ちている。しかし、危険なほどに新しいアイデアがない。

 中国共産党は今週、結党100周年を迎える。写真は28日、北京で開かれた共産党結党100年を記念する式典で上がった花火(2021年 ロイター/Thomas Peter)

習近平主席の下、共産党は世界の舞台に大胆に乗り出した。多国間融資機関を設立し、人民元を国際通貨基金(IMF)の通貨バスケットに組み入れ、「一帯一路」構想に基づいて海外のインフラプロジェクトに資金を投入した。国内では、独自基準での絶対的貧困をなくし、2060年までにカーボンニュートラルを実現することを約束している。

複数の問題において米ホワイトハウスを追い詰めてもいる。リフィニティブのデータによると、トランプ大統領(当時)の関税措置にもかかわらず、中国の製造業は3月時点で、世界の輸出市場で約16%のシェアを確保。米国がこの水準のシェアを手にしていたのは直近では1970年代だ。米国との外交関係が冷え込む中でも、習体制の下で中国企業は米国の証券取引所で700億ドルの資金を調達しており、米金融機関から1630億ドル借り入れた(ディールロジック調べ)。

最後に、中国共産党は初期対応では失敗したが、新型コロナウイルス感染症の抑制に成功。経済は1四半期収縮しただけで、再び成長モードに戻った。しかし、国粋主義者による大言壮語が増える一方、改革プロジェクトの停滞リストは長くなりつつある。

<創造力が枯渇しつつある中国共産党>

1980年代にトウ小平氏の下で始まった中国の経済的奇跡は、かなりの政策的工夫がなされた結果であることを忘れてはならない。ソビエト連邦崩壊後のロシアでは、政府が急きょ規制を撤廃して自由市場を導入し、「ショック療法」と呼ばれる手法が取られた。毛沢東氏の急進的な社会主義が、中国経済をソ連モデル以上に硬直的で脆弱なものにしていたことから、中国にはロシアが取ったような選択肢はなかった。

代わりに、トウ氏の指導の下、改革派は地元の有力者に自由化を慎重に試す権限を与え、私有財産を徐々に復活させ、農民や企業家が利益を保持できるようにした。共産党は株や債券の取引所を復活させ、米金融市場を利用して非効率的な省庁の形態だった組織を上場企業に変えた。

彼らはいくつかの大胆な決断をした。朱鎔基首相(当時)は、1990年代に非効率な政府系企業の従業員を推定で4000万人解雇した。また中国共産党は、不動産資産を公的管理から私的管理に移行するという歴史上最も大々的な措置に踏み切った。中国の経済復興の大部分は勤勉な国民のおかげだ。しかし、中国の政治指導者は、たとえ最初に混乱を引き起こしたとしても、賢明に道を切り開いたと評価できる。

このところ、中国共産党の創造力は枯渇の兆しを見せている。自由貿易試験区のような、現在の問題には対処できない古い解決策へのノスタルジーが高まっているようだ。習氏は「頭を叩く」ことには長けているかもしれない。彼の厳しい反腐敗キャンペーンは、低迷していた中国共産党に対する国民の信頼を取り戻すのに大いに役立った。しかし、経済的には、習政権は改革を止めたどころか失敗したと言える。

<過去の成功に甘んじるな>

より生産性の高い資産クラスから資金を奪い、中国の家計を負債で苦しめている不動産への過剰投資を減らすための長期的キャンペーンを例に取ってみよう。当局はパンデミックの際、景気刺激のための資金が不動産に流入しないよう努力したが、中核都市の住宅価格は再び急上昇している。その理由の一つは、中国共産党がパンデミックへの対応として、信用を緩和しつつインフラに支出するという、昔ながらの手法を用いたことだ。その結果、2008年の世界金融危機の後と同様に、資金が住宅に流れ込むことになった。しかし、政府はこの流れを止めることができず、冷却効果があると思われる不動産税の導入も見送られた。

官僚は、問題のある業界の頭を叩くことを、改革と同義であると考えがちだ。しかし、これは必ずしも正しいとは限らず、高くつく誤解である可能性もある。例えば、中国共産党が主導するアリババのようなテクノロジー大手に対する脅しは、投資やイノベーションを促進するとは思えない。一方、当局は半導体分野での自立化を目指しているが、この問題に何年も資金を投入しているにもかかわらず、ほとんど成功していない。不良債権が2兆ドルに達しようとしている中、中国は無駄なイノベーションモデルに執着している余裕はない。

例は枚挙にいとまがない。労働人口の減少による人口動態の危機が加速する一方で、貧富の差が拡大している。しかし、共産党は「戦狼」的な男性が牛耳っており、女性の出産に関する決定を細かく管理し、フェミニストを逮捕し、労働力の移動を制限することに依然固執している。

15兆ドルの経済規模を誇る中国の共産党は莫大な資源と国民の支持を得ている。しかし、中国共産党が直面している問題は、トウ氏の改革者たちが克服した問題よりもさらに複雑だ。共産党がもう1世紀持続したいならば、過去の成功に甘んじることをやめなければならない。

●背景となるニュース

*中国共産党は7月1日に結党100年周年を迎える。国民党との内戦に勝利し、1949年10月1日に中華人民共和国の建国を宣言。以来、単独で統治している。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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