June 10, 2015 / 7:08 AM / 4 years ago

焦点:バイオ技術で存在感高める中国、長年の投資が実を結ぶ

[上海/ロンドン 10日 ロイター] - 中国の長年にわたるバイオテクノロジー分野強化策が実を結び始めている。研究開発への投資を拡大したり、海外にいる科学者の帰国を呼び掛けたりしてきたが、ここにきて競争力上昇が明らかとなった。

 6月10日、中国の長年にわたるバイオテクノロジー分野強化策が実を結び始めている。研究開発への投資を拡大したり、海外にいる科学者の帰国を呼び掛けたりしてきたが、ここにきて競争力上昇が明らかとなった。上海で1月撮影(2015年 ロイター/Aly Song)

研究開発費は2005年から13年にかけて4倍強増えて1910億ドルとなったほか、海外の中国人人材を呼び戻すプログラムも功を奏している。

こうした努力の成果が4月に表れた。中国・広州にある中山大学の科学者は、「CRISPR-Cas9」と呼ばれる新たな遺伝子編集技術を用いてヒト受精卵のDNAを変える画期的な実験結果を発表した。

トムソン・ロイター傘下のトムソン・イノベーションがまとめたデータによると、遺伝子編集分野における特許で中国の存在感は高まっている。中国科学院、各大学、安徽省農業科学院といった50以上の中国の研究機関が同分野で特許を取得。遺伝子編集分野における2004年以降の518特許群を分析したところ、約2割は中国の機関に関係していた。

<あふれる起業家精神>

中国は遺伝子シークエンシング(配列決定)分野にも投資。例えば、深セン市に本拠を構える華大遺伝子(BGI)は世界最大のゲノム機関と主張している。とはいえ、もともとの遺伝子シークエンシング技術は米国と英国で開発されたものだ。

中国はまた、2003年には頭部・頸部(けいぶ)がんに遺伝子治療を適用することを初めて承認した。ただ、海外では議論が続いており、中国の科学者は動物研究の境界を広げた段階にある。

スイスと米国の民間バイオ技術企業、CRISPRセラピューティクスのロジャー・ノバク最高経営責任者(CEO)は「中国は一部の欧州よりもはるかに起業家精神にあふれており、徐々にこのゲームで非常に重要な役割を果たす可能性がある」と述べた。

<依然足りない独創性>

ただ、黄軍就氏が率いた中山大学チームの論文は、ヒト受精卵を初めて利用したとして欧米の一部科学者から抗議を受けている。

また、英サセックス大学のジェームス・ウィルスドン教授は「中国内では生命倫理に関して激しい論争もある」としつつ、中国は倫理的な問題にあまり重きを置かないとみなす傾向があると指摘した。

英国立医学研究所(NIMR)の発生遺伝学部門責任者、ロビン・ラベル=バッジ氏は、遺伝子編集分野で中国が永遠に優位があるとは思えないと指摘。「これらの技術がどこかの時点でヒト受精卵に利用されることは分かり切っていた。知的な優位性があるわけではなく、単に最初にやったというだけで、あまりうまくいったわけではない」と述べた。

帰国者プログラムの恩恵を受け、CRISPR技術にも詳しい浙江大学のグオジ・グオ教授は、黄氏の研究は意義深いものだが、依然として米国で開発された手段に頼ったものだと指摘。「われわれは世界を変えるような発見が必要だ」と述べた。

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