[上海 17日 ロイター] - 中国で17日、マネーブローカーによるデータフィードがほとんどのプラットフォームで再開された。
マネーブローカーは15日、当局からの指示を受けてデータフィード事業を停止。リアルタイムの債券価格情報がベンダーに提供されなくなっていた。
ロイターは16日、当局がデータフィード事業の再開を認めたと報じた。
トレーダーによると、17日午前時点で「ウィンド」や「ディーリング・マトリックス」を含む金融情報プラットフォームで、マネーブローカーからのリアルタイムの債券価格情報が再び表示されるようになっている。ロイターも画面を確認した。
ただ、寧波森浦信息科技の金融プラットフォーム「qeubee」はデータフィードが停止されたまま。理由は現時点で不明だ。
当局はデータフィード停止を指示した際、データのセキュリティーに関する理由を挙げていた。この措置を受け、トレーダーは取引が困難になり、取引高は15日に9%減少、16日にはさらに16%落ち込んだ。
NEXインターナショナル、BGCパートナーズ、セントラル短資、コンパニー・フィナンシエール・トラディションの合弁事業などで停止措置が解除された。
タレットプレボンSITICO(中国)は森浦のみにデータを提供しており、同社は事実上、停止措置が継続されている。
財新によると、中国人民銀行(中央銀行)と中国銀行保険監督管理委員会は16日午後にマネーブローカーや銀行の関係者を集めて停止措置の影響について協議。その後、停止措置が解除された。
市場関係者は、今回の措置が短期間で撤回されたことについて、事前の調査が不足していたと指摘。
あるトレーダーは、業務に多大な影響が出たとし「相場が上昇しているのか下落しているのか分からなかった」と語った。
中国は2016年、株式相場の急変時に取引を停止する「サーキットブレーカー」制度を導入したが、この措置が株価の急落を招き、停止に追い込まれた。
アナリストによると、今回の騒動と政府の説明の欠如を受けて、中国政府に対する企業の信頼がさらに揺らぐ可能性がある。
政府は数年前からデータセキュリティーへの懸念を強め、新法や企業のコンプライアンス要件を打ち出している。今月には膨大なデータを管理する国家データ局を新設すると発表したが、詳細は明らかになっていない。
中国の調査会社トリビアム・チャイナのデータポリシー担当アナリスト、トム・ナンリスト氏は「すでに過去1年間で、特にここ数カ月は、データセキュリティーに関するコンプライアンス要件を巡ってかなりの混乱が生じている。企業にどのような影響があるのか少なからぬ恐怖感も広がっている」と指摘。
「今回何が起きたのか詳しい説明があるまで、コンプライアンスの予測ができないといった見方が強まるだろう」と述べた。
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