[ブラジリア 17日 ロイター] - 中国は17日、ブラジルとの通商関係を拡大する総額75億ドルの契約に調印した。ブラジル資源大手バーレVALE5.SAへの融資や、航空機メーカーのエンブラエル(EMBR3.SA)からの旅客機60機購入、インフラ投資での協力の再確認などが柱。
エネルギーや金融、産業など多岐にわたる調印には、ブラジルを訪問した中国の習近平国家主席と、ブラジルのルセフ大統領が立ち会った。両国は、ブラジルのインフラ整備不足解消のため鉄道建設で連携するともに、中国の旺盛な商品(コモディティー)需要に対応することで合意した。
現在検討されているプロジェクトの一つは、ブラジルの大西洋岸からアンデス山脈を横断し、ペルーの太平洋岸に至る鉄道路線の建設。ブラジル政府高官によると、この鉄道によりブラジル産穀物の対中輸出コストは1トン当たり30ドル引き下げられる見込みだという。
昨年の中国とブラジルの2国間貿易額は833億ドルと、2002年の32億ドルから急増。ブラジルから主に鉄鉱石や大豆、原油を輸出することで、中国はブラジルにとって最大の貿易相手国になっている。
ブラジルの閣僚は匿名を条件に、「中国が戦略面で抱えている主な不安は、エネルギー安全保障と食料安全保障の二つだ。こうした点でブラジルは理想的なパートナーとなっている」と語った。
ヴァーレへの融資は、中国輸出入銀行が50億ドルの融資枠を3年間供与し、船舶や装置を中国企業から購入する資金を貸し出す内容。ただ、中国はバーレの大型鉄鉱石輸送船が国内の港に停泊することを認可しておらず、この件をめぐる対立の解決策への言及はない。
また、エンブラエルから中国に販売する旅客機60機のうち、40機はアジア最大の取引先である天津航空[TJAIR.UL]が購入。残り20機は、エンブラエルとのリース契約に基づき、中国工商銀行(601398.SS)が購入する。