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コラム

コラム:バイトダンスCEO退任、中国ITカリスマ経営者に強まる風圧

[香港 20日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 最近の中国では、インターネットで人気を集めることが望ましい結果を生むケースは滅多にない。北京字節跳動科技(バイトダンス)の共同創業者、張一鳴氏が最高経営責任者(CEO)を退任するのも恐らくそれが理由だろう。   

 最近の中国では、インターネットで人気を集めることが望ましい結果を生むケースは滅多にない。北京字節跳動科技(バイトダンス)の共同創業者、張一鳴氏(写真)が最高経営責任者(CEO)を退任するのも恐らくそれが理由だろう。2020年3月、米カリフォルニア州パロアルトで撮影(2021年 ロイター/Shannon Stapleton)

中国政府の締め付けが強まるハイテク業界で、高名なトップがまた、経営の第一線を去ることになる。もっともバイトダンスにとっては、市場デビューをより円滑に果たす上で賢明な判断と言える。また、より幅広い経営陣の入れ替えは、同社がしばらく時間稼ぎをする方が得策だということも意味している。

新興企業で創業者がより専門的な経営者に後を託すのは、その企業が成熟化した表れとみなされることが多い。しかし、現在は「平時」ではなく、バイトダンスは一般的な新興企業でもない。張氏が退任を決めたちょうど2カ月前には、電子商取引大手・ピンドゥオドゥオを創業したコリン・ホアン氏が経営の表舞台から退くと発表した。

これと軌を一にして、電子商取引大手・アリババ傘下の金融会社、アント・グループは、創業者の馬雲(ジャック・マー)氏が保有株を売却し、経営権を手放すことにつながる選択肢を検討している、とロイターが伝えた。

習近平国家主席が巨大IT企業に対する規制を強化する中で、カリスマ性を備えた企業経営者が、政治的に最優先の標的になっている様子がうかがえる。

バイトダンスの混乱は、何とか収められるはずだ。張氏は後任となる同じ共同創業者の梁汝波氏へ仕事を必ず円滑に引き継げるように「二人三脚で尽力する」と強調した。

さらに収益性の高い動画アプリ「抖音(Douyin)」を手掛ける国内事業には既に有能な幹部が何人も控えており、その中には最近になって中国事業のCEO兼会長に登用された人物もいる。張氏自身は、長期的な各種プロジェクトに専念するつもりだ。

ただ、張氏がこうしてトップの座を去ることで、バイトダンスにとって待望久しい新規株式公開(IPO)の道筋が、より開けてくるのは間違いない。ロイターが3月に報じたところでは、昨年行った直近の資金調達ラウンドで1800億ドルの評価を得たバイトダンスは、従業員向けストックオプションに基づくと、最大で3000億ドルまで企業価値が膨らむ可能性がある。

一方、次期CEOの梁氏には、上場時期をもう少し先延ばしするべき十分な理由が存在する。動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を運営するバイトダンスの米国事業は、地政学上の問題でずたずたにされ、昨年に米政府が無理やりティックトックの売却を迫る中で、ウォルト・ディズニー出身のケビン・メイヤー氏がCEOを辞任する事態になった。

そして、バイトダンスが内外の事業の首脳陣を刷新したことは、状況を変えるはずだ。例えば、同社は中国の携帯電話メーカー、小米科技(シャオミ)が2018年に上場するのを手助けした人物を最高財務責任者(CFO)に起用している。それでも、IPOの実施は来年まで待てる。なぜなら、梁氏が今すぐスターになる必要などないからだ。

●背景となるニュース

*北京字節跳動科技(バイトダンス)の共同創業者、張一鳴氏は19日公表された従業員向けメモで、最高経営責任者(CEO)を退任すると明らかにした。後任は、共同創業者で人事部門責任者の梁汝波氏が務める。

*張氏は年末に、長期的な戦略や企業文化、社会的責任の分野を扱う役職に就任すると付け加えた。

*動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」「抖音(Douyin)」を手掛けるバイトダンスは、ニューヨークないし香港に一部事業の上場を検討している、とロイターが3月に関係者の話として伝えた。バイトダンスはこれまで、新規株式公開(IPO)を当面実施する計画はないと言い続けている。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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