for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up

焦点:ジュエリーでも「愛国心」、中国ミレニアル世代の金ブーム

[上海 29日 ロイター] - 若い世代の豊かな中国人消費者の多くにとって、現代的でシンプルな宝飾品は流行遅れ。代わって返り咲いたのは「伝統」である。

若い世代の豊かな中国人消費者の多くにとって、現代的でシンプルな宝飾品は流行遅れ。代わって返り咲いたのは「伝統」である。写真は上海にある周大福の店舗で8月18日撮影(2021年 ロイター/Aly Song)

龍や不死鳥、牡丹の花といった中国の伝統的な文様・象徴をあしらった金のブレスレット、ペンダント、イアリング、ネックレスが、中国人消費者の間で飛ぶように売れている。特に20代・30代の消費者で好調が目立ち、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)をきっかけとした販売不振を経て、中国における金需要の回復をけん引している。

ネットショッピングのブームと国家的な自尊心の高揚を背景に、「ヘリテージ・ゴールド」 と呼ばれる宝飾品の需要が拡大している。業界幹部によれば、ヘリテージ・ゴールドには繊細な職人の技術が必要で、通常の金宝飾品の価格に比べ20%、あるいはそれ以上のプレミアムがつくという。

こうした新製品の人気に火がついたのは2020年半ばで、中国における金宝飾品需要に拍車を掛けた。ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)によれば、金の消費量では世界首位の中国だが、2021年上半期には前年比2倍以上の伸びでパンデミック前の水準を取り戻したという。

販売の追い風となっているのは、経済の好調と消費者支出の改善である。若い世代の消費者が、伝統的デザインをまとった多くは肉厚で艶消し仕上げの金宝飾品に関心を示したことは、金に対するこの世代の嗜好(しこう)が変化したことをうかがわせる。これまで金宝飾品は、もっと上の世代の財産と地位を示す仰々しいシンボルとして敬遠されていた。

世界第2位の金消費国であるインドで、パンデミックによる婚礼の延期に伴い、伝統的に持参金の一部とされる金製品の需要が低下する中で、こうした若者の意識変化は福音となった。

香港証券取引所に上場する周大福珠宝 や六福集団 といった中国の宝飾品小売大手は、各社のヘリテージ・ゴールド製品の売れ行きは、特に若い世代の消費者で好調だとしている。

株式時価総額で中国最大の宝飾品販売企業である周大福によれば、2021年3月期には、中国本土における金製品の小売販売額全体のうち、ヘリテージ・ゴールドが40%を占めた。前年度は29%で、他の宝飾品に比べて成長が速いという。

特に若い世代の消費者の間でヘリテージ・ゴールドが人気となっている理由の1つは、愛国的でありたいという願望の表われだ。背景には、中国で事業展開する西側アパレルブランドが、新疆ウイグル自治区における人権侵害問題に対する懸念を表明したことへの反発がある。

「若い世代は、中国経済が力をつけていく時期に成長した。彼らは中国の発展に対する自信が強く、西側文化に対する憧れが薄い」と語るのは、WGCチャイナのマネジングディレクター、ローランド・ワン氏。

「彼らは、身につけるものや自宅の装飾を通じた表現で、日常生活にもっと中国の伝統文化を取り入れたいと思っている。ヘリテージ・ゴールドは、それを可能にしてくれる」

東部の江蘇省出身で営業部門の幹部を務めるガオさん(29)は、フルネームは明かしてくれなかったが、今年に入って3万元(約51万円)を投じてフィリグリー(金線細工)パターンのブレスレットとヘアピンを購入し、毎日使っているという。いずれは、現在2歳の娘に譲りたいと考えている。

「中国の文化が好きで、中国の歴史を背景にした製品を選んでいる。(伝統衣装の)漢服もよく着ているし、ヘリテージ・ゴールドを選んだ理由も、私の全般的なファッションにマッチするから」

宝飾各社によれば、ヘリテージ・ゴールドは北京や上海、その他の大都市でもミレニアル世代の間で人気が高まっており、ネットショッピングの隆盛で、消費者にとって宝飾品の選択肢がこれまでより大幅に広がったことも、そうしたトレンドを後押ししているという。

ガオさんは、「確かにパンデミックを契機として金宝飾品への出費が増えた。(略)ライブストリーミングによる販売イベントもたくさん行われるようになった」と語った。

<「黄金の」チャンス>

好調な需要が長続きすることを期待して、金宝飾品メーカーではヘリテージ・ゴールドへの投資を拡大している。深センで活動するメーカーのマネジャーは、メディアの取材に応じる立場にないため匿名を希望しつつ、今年は主要ブランドや顧客から大口の注文が入ったことから、もっぱらヘリテージ・ゴールドの販促を進めている、と述べた。

「今年の春節、ヘリテージ・ゴールドは驚くほど売れ、従来の金宝飾品を追い抜いてしまった」とこのマネジャーは話した。

「このトレンドを目にして、当社では、ヘリテージ・ゴールドの新たなデザインをもっと生み出すために、デザインやテクノロジー面での研究開発を拡大した。深センの他の金宝飾品メーカーも同じことをやっている」

中国黄金協会は、国内の金製品産業がパンデミックの影響から立ち直る上で、ヘリテージ・ゴールドが主役になったと話している。急速な成長は今後も続きそうだ。業界・市場調査会社の北京智研科信コンサルティングによると、国内のヘリテージ・ゴールド市場は2017年から2019年にかけて10倍に拡大し、2024年までには1000億元近くの規模に達すると見られている。中国の金宝飾品市場に占めるシェアは、2017年の2%以下から、2024年までには4分の1近くに急増すると予想されている。

同コンサルティングは、1月に発表したヘリテージ・ゴールドに関する報告書の中で、「金宝飾品企業は文化的価値の大切さを急速に認識しつつあり、その可能性を本格的に探りつつある」と指摘した。

(翻訳:エァクレーレン)

for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up