[北京 16日 ロイター] - 中国共産党の第20回党大会が16日、北京の人民大会堂で開幕し、習近平党総書記(国家主席)は今後の施政方針となる活動報告を行った。
安全保障に焦点を当て、政策の優先課題を再確認。世界クラスの軍構築加速を呼びかけるとともに、新型コロナウイルスを抑え込む「ゼロコロナ」政策の成果を強調した。
習氏は前回の党大会からの5年間を「極めてまれで異常」と表現。「苦難の感覚を強め、収益を重視する思考を堅持し、平時に危険への備えをし、強風や高波などの大きな試練に耐えられるようにしなければならない」と述べた。
今回の活動報告は2017年とほぼ同じ長さだったが、前回と異なり全文を読み上げなかったため、習氏の演説は2時間弱と約3時間半に及んだ前回よりも短かった。
習氏は国家安全保障の強化、食料・エネルギーの確保、サプライチェーン(供給網)の確保、災害対応力の向上、個人情報保護などを訴えた。
最大の拍手が起こったのは、台湾独立への反対を改めて表明したときだった。
ロイターの集計によると、活動報告で習氏は「安全保障」や「安全」という文言を89回使用。17年の55回から増加した。一方、「改革」という文言の使用は5年前の68回から48回に減少した。
シンガポール国立大学リー・クアンユー公共政策大学院のアルフレッド・ウー准教授は、中国経済の減速に伴い、習氏は正当性の根拠を経済成長から安全保障にシフトさせようとしていると指摘。
「習氏は中国が多くの危険に直面し、比喩的に言えば戦争状態にあり、自分は救世主である、と説いている。これにより習氏は求心力を得ようとしている」と述べた。
習氏はまた、「社会主義市場経済」を微調整しつつ、民間セクターを支援することや、市場が主な役割を担うことを容認する姿勢などを改めて強調した。
19年に反政府デモに揺れた香港については、共産党が状況の掌握に成功したと評価した。台湾問題を巡っては、習氏は「分離主義や干渉に対して断固として大いなる闘争を展開し、国家主権と領土保全を守り、台湾の独立に反対する強い決意と能力を示してきた」と述べた。
共産党が「人類史上最大の貧困との闘いに勝利した」とも語った。
党大会で習氏の3期目続投が正式に決まるのは確実とみられる。党大会閉幕後の23日に開かれる予定の第20期中央委員会第1回総会(1中総会)で、最高指導部を構成する政治局常務委員らを選出する。
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