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焦点:習主席のプロパガンダが過熱、中国共産党大会控え
2017年10月16日 / 07:36 / 1ヶ月後

焦点:習主席のプロパガンダが過熱、中国共産党大会控え

[北京 12日 ロイター] - 北京中心部に位置する混雑した展示場には、中国が最近達成した功績がずらりと並べられている。同国初の実戦用航空母艦、光り輝く高速鉄道列車、そして貧困から脱出した幸福そうな村民たち──。

表向きには過去5年間の中国人民による成果を祝う展覧会だが、感謝すべき人物は習近平国家主席だということが露骨に示されている。

共産党の宣伝部局が主催するこの展覧会に入場する来場客は、円形の控えの間を経由しなければならない。そこの赤い壁には、習主席の統治理念をベースにしたスローガンが飾られている。

会場は10のホールに分かれており、それぞれの壁に習主席の写真が何百枚も飾られている。軍服を着て部隊を視察する姿や、海外要人と注目を浴びる姿に加え、子象を撫でている主席のソフトな側面を強調する写真もある。

他の党幹部の写真は、対照的にずっと小さく、目立たない場所に展示されている。

習主席のサインの入った160元(約2700円)の夕食代のレシートさえ展示されている。倹約ぶりをアピールするためだ。

18日に開催される中国共産党大会を控え、習主席の実績を称賛するラジオや国営テレビ放送のドキュメンタリー番組とともに、この展覧会は中国指導者の偉大さを喧伝するためのプロパガンダ作戦の一翼を担っている。

5年ごとに開催されるこの非公開会議において、習氏は、毛沢東氏以降で最も強力な中国指導者としての地位をさらに強化するものと予想されている。

大きなイベントを控えた中国共産党が主要な実績を宣伝するのはいつものことだが、今回のプロパガンダの取り組みは、何年も前から中国指導部にいる人物としては最も大掛かりなものとなっている。

揺るぎない汚職撲滅キャンペーン、活気ある経済、国際社会における地位向上など、近年の中国の成功の立役者として、習主席はもてはやされている。

香港中文大学のウィリー・ラム教授は、このプロパガンダについて、習主席の権力拡大を正当化することを意図しているように見えると語る。習氏は近年、軍や経済、サイバースペースを巡る改革において自らリーダーシップを発揮している。

「ただ1人の有力指導者だけが、力を集結させ、過去5年間に彼が達成したとされる、奇跡に近い業績を実現することができた」という印象を中国共産党が示そうと努めている、とラム教授は指摘する。

共産党の広報官室を兼ねる国務院新聞弁公室(SCIO)にコメントを求めたが、回答は得られなかった。

<個人崇拝の恐れも>

中国の指導者たちは、国民に対してあからさまに支持を求めることはない。理屈のうえでは、共産党が人民の権力を指導部に委ねている形だからだ。

しかし現実には、党のプロパガンダ機関によってトップ指導者のイメージは慎重に創り上げられている。

 10月12日、18日に開催される中国共産党大会を控え、北京中心部に位置する混雑した展示場には、中国が最近達成した功績がずらりと並べられている。写真は10日、同展示センターの外で働く男性(2017年 ロイター/Jason Lee)

就任まもない頃の習氏の慈愛に溢れたイメージは、「習父さん」「習叔父さん」といった親しげなニックネームにつながり、同氏の風貌に関する甘ったるい歌まで生まれたが、2016年初頭には、個人崇拝を生み出すことを避けるために根絶された。

習氏と有名な歌手でもある妻・彭麗媛夫人が描かれたマグカップやプレートといった安っぽい土産物を見つけることは困難になった。

習氏の風貌がアニメキャラクターである「くまのプーさん」に似ていることにちなんでネット上で拡散されたものも含め、習氏を笑いものにする画像に対する検閲も、ここ数カ月で厳しくなっている。

それでもまだ、注意深く形成された習氏の社会的イメージから親しみやすい要素が一掃されたわけではない。

習夫妻の結婚30周年に当たる9月1日、「微信」のあるアカウントが、夫妻の昔の写真と個人的なエピソードに関する記事を投稿した。

Slideshow (9 Images)

事情に詳しい情報提供者によれば、このアカウントは、習氏の外遊に夫人が付き添うときは常に同行する公式な記録担当者が運用するもので、主席夫妻の生活のうち、厳選された一部を共有することを意図したものだったという。

<神話化されるエピソード>

最新のプロパガンダの大半は、「仕事一筋」という習主席のイメージを広めるもので、中国を新たな発展段階に導いていく同氏の献身ぶりや能力、個人的な役割にフォーカスしている。

国営テレビで放映されたドキュメンタリー番組では、国際社会における習氏の影響力を称賛していた。王毅外相は官報に寄稿した論文のなかで、外交に対する習氏の貢献は、300年に及ぶ西側諸国の外交理論を超越している、と書いている。

北京の展覧会で人気のあるセクションは、中国人民軍を世界一流の戦闘集団に変革するという習氏の宣言を中心とするもので、ミサイル発射台や戦艦、空母「遼寧」などの模型が巨大な赤旗のもとに展示されている。

来場者の1人で、馬という姓だけ教えてくれた元オートメーション技術者は「刺激的だ」と話す。「中国発展のペースは非常に早く、一般の国民にもその恩恵が及んでいる」

文化大革命の時期に、辺境の陝西省で過ごした日々に関するインタビューをまとめた習主席に関する452ページの評伝も、ここ数カ月、盛んに宣伝されている。

この本に含まれる逸話には、たとえば毛沢東時代の理想的な兵士で、死後は模範的な市民として称揚された雷烽など、他者のために無私無欲で働いた英雄に関する、共産党らしい神話を連想させるものがいくつかある。

習主席を知る村民は「当時でさえ偉大さの片鱗を見せていた」と語り、同氏が村民に井戸の掘り方を指導したおかげで飲み水が利用できるようになったエピソードを紹介している。

「身を切るような寒さだったが、近平氏は井戸に降りて、足は泥まみれになっていた」と村民のLiang Yuming氏は語る。「精根尽きるまで、本当に長時間働いていた」

(翻訳:エァクレーレン)

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