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焦点:中国の厚い「ガラスの天井」、党中央政治局は女性1人
2017年10月26日 / 09:41 / 1ヶ月前

焦点:中国の厚い「ガラスの天井」、党中央政治局は女性1人

[北京 25日 ロイター] - 中国共産党が、北京で24日閉幕した党大会のような大規模集会を開く際には、「人民の代表」という自らのイメージを演出する狙いもあって、出席する代表者リストは常に注意深く選定される。

下働き的な立場の人や、少数民族に光があてられることもあるが、政治エリートへの起用が恒常的に進まないグループが1つある。それは女性だ。

中国建国の父である毛沢東氏は、かつて女性が「天の半分を支える」と語ったかもしれない。だが5年に1度の党大会で新指導部が選ばれてみると、女性が支える部分はほとんど何もなかった。

党の最高意思決定機関である中央政治局常務委員会には男性7人が選ばれたが、女性は誰ひとり選ばれなかった。これまで女性が起用された例は過去1度もない。

中央政治局の新たな委員25人のうち、女性は外部との連携を担当する部門を率いる孫春蘭氏のみだ。孫氏は2期目の選出となり、5年後に引退するとみられている。これまで中央政治局には孫氏のほかに劉延東副首相がいて女性2人の体制だったが、定年を迎えた劉氏は、今回同局から退任した。

その下に位置する任期5年の党中央委員会では、新たな委員204人のうち女性は10人、割合にして4.9%に過ぎない。これまでと同じ割合だが、女性が13人いた2007年─2012年期からは減少している。

党幹部になぜ女性がこれほど少ないのか、党の広報部門も兼ねる中国国務院情報部にファクスで質問したが、回答はなかった。

参考までに、トランプ米政権の閣僚24人のうち女性は5人で、米連邦議会の女性議員の割合は約20%。日本の閣僚20人のうち女性は2人で、22日の総選挙で選出された衆議院議員の10%程度が女性だった。

<宇宙飛行士と家政婦>

共産党大会の出席者全体では、女性の割合はもっと高い。代表者2287人の約4分の1だ。この割合は、約9000万人いる党員全体においてもほぼ同じだ。

だが、指導部ポストがほぼ男性に握られている現状では、党大会に出席した女性代表のほとんどは「お飾り」に過ぎないと、フェミニストのソーシャルメディアサイトを展開するNGO管理者のXiong Jing氏は語る。

「これは手垢のついた問題だ。今のような政治システムでは、党大会代表や政府内でもっと多くの女性が参加したとしても、できることは限られるかもしれない」と、Xiong氏は指摘する。

共産党は、一部のグループについては、代表者がいるように体裁を整えることを重視している。

党大会や年1回の全国人民代表大会には、56の中国少数民族や、全支部の軍や警察、民間企業、国営企業、そしてもちろん政府の代表者が集められる。

今回の党大会には、宇宙飛行士やスポーツ選手、俳優、裁判官、農家などの代表者が参加した。エプロンとメイド帽姿で出席した家政婦の代表者さえいた。

10月25日、中国で政治エリートへの起用が恒常的に進まないグループが1つある。それは女性だ。写真は共産党大会の出席者。北京で18日撮影(2017年 ロイター/Aly Song)

<人民の党>

一般的に中国では女性の政治参加が遅れている。

世界経済フォーラムの2016年男女格差報告では、女性の政治参加において、中国は144カ国中74位だった。2006年には、115カ国中52位だった。

ニューヨーク在住の社会学者で、中国女性の地位問題についての著書もあるリタ・ホン・フィンチャー氏は、伝統的な男女観が復活する中国では、女性の地位が後退していると指摘。

「共産党は根本的に、上級レベルへの女性登用にまったく無関心な印象がある」と、フィンチャー氏は言う。

10月25日、中国で政治エリートへの起用が恒常的に進まないグループが1つある。それは女性だ。写真は孫春蘭・党中央政治局委員。2016年11月撮影(2017年 ロイター/Jason Lee)

中国で改革開放政策が取られる以前、毛沢東時代の計画経済では、女性は労働力に組み入れられ、国づくりの一翼を担った。

1949年に共産党政権が誕生して以降、最も権力があった女性は、毛氏の妻の江青氏だ。1976年に毛氏が死ぬと、江青氏はともに権勢を振るった党中央政治局の「4人組」と一緒に逮捕され、文化大革命の行き過ぎた混乱の責任を問われた。

最近では、高齢化と労働力人口や出生率の減少などの人口問題を脅威に感じた共産党は、女性は結婚して子供を産むべきとの考えをさかんに宣伝している、とフィンチャー氏は語る。

もちろん、中国のビジネス界には著名な女性経営者もいる。不動産開発大手のSOHO中国(0410.HK)の張欣氏や、スマートフォン向けレンズ大手の藍思科技(レンズ・テクノロジー)399433.SZを創立し富豪となった周群飛氏などだ。

また党や政府も、男女平等の建前を賞賛している。憲法は、男女同権を保証している。

「政府は、男女平等の問題を真剣にとらえているように見せたがっているが、現実はそうではない。男女同権から完全に撤退しているのが実情だ」と、フィンチャー氏は言う。

党大会に出席する代表者の選挙過程は厳しい管理下にあり、候補者は党や指導部への忠誠を前もって試される。

だが、代表者の1人で深海研究用の潜水艇乗組員Tang Jialing氏は、女性がいないのは民意の反映ではないかと話す。

「われわれは、人民の党だ。男性より女性を多く選出したのも人民だ。人民の選択だ」と、彼は言った。

(翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)

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