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焦点:中国の海外「キツネ狩り作戦」、汚職官僚の追跡に変化

[ロンドン 10日 ロイター] - 中国の汚職対策当局のトップによれば、中国は、国内で汚職を告発されて国外に逃亡している者をグローバル規模で追跡する作戦を変更したという。

 11月10日、中国の汚職対策当局のトップによれば、中国は、国内で汚職を告発されて国外に逃亡している者をグローバル規模で追跡する作戦を変更したという。写真は北京の天安門広場。9月撮影(2015年 ロイター/Jason Lee)

捜査官を海外に派遣して容疑者を追跡する中国政府の手法に対して、各国から抗議の声があがっているためだ。

海外に逃亡した中国の汚職容疑者の送還作戦を担当する劉建超氏は9日、ロイターとのインタビューに応じ、中国政府は諸外国の政府との協力を強化しており、今後は相手国による承認がない限り、帰国するよう容疑者を説得するための当局者派遣を慎むと述べた。

中国は、「キツネ狩り作戦」と呼ばれる汚職対策キャンペーンのもとで今年600人以上の汚職官僚を海外で追跡し、国内に連れ戻している。劉氏が「大変な任務」と称する、根深い汚職に対する広範な摘発作戦の一環である。

国際刑事警察機構(インターポール)中国国家センター局が4月に発行したレッドノーティス(国際的な逮捕令状に最も近い文書)に記載された上位100人の容疑者のうち、17人が本国送還されたという。

法執行面での協力体制を改善するためイギリスを訪れた劉氏は、「さまざまなレベルの中国当局としては、訪問先の国に対して害を及ぼす意図は実際にはなかったものの、苦情を受けたことで、任務の進め方に改善の余地があることを認識した」とロイターに語った。

「そこで今、関係各国の当局と協議し、支援と理解を求めるとともに、相手国の法的手続、ルールを遵守することをはっきりと告げているところだ」と同氏は言う。経済犯罪で逃亡した容疑者を本国送還するなかで中国政府が受けた抗議を率直に認めるのは異例のことだ。

<「手ごわい」任務>

北京駐在の西側各国の外交官は、中国が海外に捜査官を派遣して帰国するよう容疑者を説得していることに各国政府は激怒しており、中国が各国の協力を望むのであれば、公明正大に法的手続と現地の裁判所を活用しなければならない、と話している。

なかでも米国は、中国の捜査官が米国内で逃亡者に対して帰国するよう圧力をかけていると主張し、中国に警告を送っている。

西側諸国は、中国との身柄引渡協定の締結に二の足を踏んでいる。その原因の一端は、中国の司法制度に対する懸念である。人権団体によれば、中国当局は拷問を行っており、汚職事件では死刑が行われることも珍しくないという。

2012年末に中国共産党のトップに就任して以来、習近平国家主席は汚職の取締りを推進してきた。それ以来、数十人の高級官僚が調査の対象となり、あるいは投獄されている。

中国政府は、汚職の容疑者を中国に連れ戻す作戦の進捗について定期的に最新情報を提供しており、ときには数十人の官僚がまとめて送還されたとの発表もある。

だが、汚職が疑われる官僚をその資産とともに中国が海外から連れ戻すことは困難で、汚職との戦いは難航している。

国家腐敗予防局の副局長を務める劉氏は「依然として、手ごわい任務だ」と話す。劉氏は党の中央規律検査委員会内の国際協力部トップでもある。

いまだ海外に留まっている対象リストのなかに楊秀珠容疑者がいる。中国東部の浙江省で建設局副局長を務めた楊容疑者は汚職の告発を受けており、米国の入国管理当局に身柄を保護されているが、亡命を申請している。

同容疑者の弟である地方官僚の楊進軍は9月に中国に送還された。これは中国が米国から容疑者を取り返すことに成功した最初の例である。

<円滑な協力>

劉氏は、習国家主席の公式訪問を受けたイギリス政府が、中国とのあいだで身柄引渡協定を締結することを期待しているという。「法執行に関してさらに円滑に協力していくことは、中国、イギリス双方にとって本当に利益になる」と同氏は語る。

劉氏はさらにインターポールのレッドノーティスで指定されたうち3人がイギリスに滞在しているという。うち1人に対しては帰国するよう説得が行われている。合計何人の官僚が国外で追跡されているのか、またこれまでに回収された資産の額については、明らかにしなかった。

劉氏は、容疑者の追跡は政治的動機によるものではないかとの懸念を一蹴し、「汚職に手を染めた者はすべて我々の敵であり、最後の1人まで司法に引き渡し、彼らの犯罪について裁判にかける」と断言する。

習国家主席は反汚職の戦いを、政府・党官僚の私生活にまで拡大し、ゴルフから暴飲暴食まで禁止行為としている。

劉氏によれば、中国ではゴルフは贅沢な娯楽であり、民間のクラブで18ホールをプレーするには150ドル(約1万8500円)以上かかる場合もあるという。官僚の多くが稼ぐささやかな給与に比べれば高額な出費だ。

「特定の娯楽云々の話ではない。政府官僚の振る舞いはどうあるべきか、ということだ」と劉氏は言う。

(原文執筆:Elizabeth Piper, Sarah Young and Paul Ingrassia)

(翻訳:エァクレーレン)

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