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コラム

コラム:中国「ゼロコロナ」、世界の自動車メーカーに試練

[香港 12日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国当局が引き続きゼロコロナ政策に熱を上げているため、世界の主要自動車メーカーは「低速運転」を強いられている。新型コロナウイルスのオミクロン株に対する中国の厳しいロックダウン(都市封鎖)導入によってサプライチェーン(供給網)は動きが止まる一方、ウクライナの戦争が原材料コストを押し上げている。この状況を見ると、自動車業界は今年、2020年以上に厳しい局面に陥りかねない。

 4月12日、中国当局が引き続きゼロコロナ政策に熱を上げているため、世界の主要自動車メーカーは「低速運転」を強いられている。写真は上海のテスラ工場で2020年1月撮影(2022年 ロイター/Aly Song)

現在の中国は、自動車メーカーにとってかつてないほど重要な存在になった。当初は新型コロナウイルスの封じ込めに成功し、事業を急拡大できたからだ。

データストリームによると、昨年6月末までの1年間の中国の自動車輸出額は、パンデミック前から倍増して約350億ドルに達した。自動車部品輸出額も40%強増え、750億ドルを超えた。多くのブランドやサプライヤーは中国工場を利用し、同国内と海外双方の需要を満たしてきた。

代表例となったのは、米電気自動車(EV)大手・テスラ。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の肝いりで設立された上海工場での生産が始まったのはパンデミック発生直前で、昨年になって年間生産能力を50万台弱まで高めた。その結果、同社の中国国内販売を2倍に拡大することができた。

ところが、現在の中国当局は新型コロナウイルスを徹底的に抑え込むと約束しており、全てのメーカーがリスクにさらされている。感染力の高いオミクロン株向けの対策は、2020年当時よりも厳しくする必要があるためだ。

実際、テスラの上海工場は少なくとも2週間は閉鎖されている。大手のフォルクススワーゲン(VW)から新興の上海蔚来汽車(NIO)まで、ライバル勢も生産を停止中。オミクロン株が出現した昨年11月以降、テスラの株価は20%、ゼネラル・モーターズ(GM)とVWの株価はともに25%以上も下落した。

逆風はこれだけではない。上海は中国屈指の経済都市で、昨年の総生産額は約6800億ドルと、ほぼポーランドの国内総生産(GDP)に匹敵する。そこでも厳しい感染対策を打ち出したということから、当局が許容できない経済的な痛みの限界点が相当高いと分かる。

つまり広州、吉林、深センといった他の製造拠点も当面は、コロナとの共生ではなくロックダウンが選択される公算がずっと大きい。中国の自動車販売も陰りが見え始め、2月は前年比18.7%増だったが、3月は11.7%減となった。

そのタイミングが、また非常に悪い。ウクライナで起きた戦争により、人々の生活全般も苦しくなった。自動車メーカーは既に、半導体など重要部品の不足や原材料価格高騰にもがいている。

例えば、バーンスタインによると、バッテリーの製造コストは最大で20%跳ね上がった。自動車メーカーからすると、今年は20年に負けないほど「アナス・ホリビリス(ひどい年)」になるのではないだろうか。

●背景となるニュース

*中国当局がオミクロン株の感染を抑えるためロックダウン(都市封鎖)や各種規制を実施しているため、多くの工場が生産停止に追い込まれている。ロイターは11日、テスラの上海工場は3月28日から操業していないと伝えた。

上海にあるフォルクスワーゲン(VW)の合弁工場も3月に稼働が止まった。VWとトヨタ自動車がそれぞれ長春に展開している合弁工場は、3月半ばから止まっている。

*データストリームによると、中国からの自動車輸出額は昨年6月までの1年間が345億ドルと、2019年比で125%増加した。自動車部品輸出額は42%増の756億ドル。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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