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アングル:中国、記録的豪雨で迫られる災害保険加入 低いカバー率

[北京 12日 ロイター] - 人口の多い中国中部、河南省で今年7月起きた記録的豪雨をきっかけに、同国の地方当局は自然災害に備えるための保険加入の検討を迫られている。保険会社にとっては、巨大な市場が開けるかもしれない。

8月12日、 人口の多い中国中部、河南省で今年7月起きた記録的豪雨をきっかけに、同国の地方当局は自然災害に備えるための保険加入の検討を迫られている。写真は7月、豪雨で冠水した鄭州市の市街地(2021年 ロイター/Aly Song)

台風被害を受けやすい地域を中心に、多くの中国地方政府が既に保険加入を視野に入れている。しかし、保険加入が遅れていた河南省での豪雨では、損害額が1337億元(206億4000万ドル)と上半期の総生産(GDP)の4.6%相当に膨らんだ。このため当局や専門家からは、さらに加入を進める必要があるとの声が出ている。

世界的に見ると、災害による経済損失が保険でカバーされている割合は30―40%で、北米では60%に達する。だが、スイスの再保険会社、スイス・リーによると、地球温暖化で異常気象の頻発が警告されている中国では、この割合が10%にとどまっている。

公式データによると、中国の主要な654都市のほぼ全てが洪水や浸水の被害を受けやすい状態にある。急速な経済成長により、氾濫原だった場所をコンクリートで覆った都市部が、四方八方へと広がったからだ。

保険会社にとって中国は将来の潜在的な収益源だが、世界的にも国内的にもハードルが残っている。

世界的には、異常気象が頻発して被害も拡大する中、保険会社は気候変動リスクをまだ商品設計に織り込み切れておらず、最終利益を守るための対応も間に合っていない。このため先進国でも新興国でも、保険の提供スピードは鈍い。

中国では災害保険が、まだ産声を上げたばかりだ。これは中央政府による後押しが欠けていることが一因。中央政府の2021―25年の5カ年計画では、災害保険は簡単に触れられているだけだ。

中国ではまた、災害保険への加入が地方政府の意志に大きく委ねられている。不動産や資産の所有者が支払い能力などに応じて保険を選ぶ日本やオーストラリアなどの先進国と異なり、地方政府が自らの懐から保険料を払わなければならないため、加入に前向きな地方政府ばかりではない。

<試験プログラム>

中国の銀行・保険当局がロイターに説明したところでは、今のところ計15の省と都市が災害保険の試験プログラムに参加している。当局は最近の大災害を受け、さらに多くの保険商品の提供を求めていく方針だとしている。

試験プログラムは、中国人民保険集団(PICC)や中国平安保険など中国の保険大手と海外の再保険会社が協力し、沿岸部の寧波市や広東省など、毎年のように台風の被害を受ける場所で展開されている。

<商品設計>

商品設計が変われば、より多くの地方当局を保険加入に呼び込めるかもしれない。

スイス・リーは、洪水の深度や被害地域の規模などのデータを遠隔から収集し、災害の深刻度合いをより素早く査定できる商品の設計に取り組んでいる。同社がロイターに明らかにした。

保険加入の推進には、中央政府による支援強化が鍵を握りそうだ。

保険専門家のワン・ヘー氏は「保険加入を広げるには、規制当局と中央政府がもっと大きな役割を果たす必要がある」と述べ、災害時用の特別基金の設置など、財政的な支援の拡大が求められると提言した。

スイス・リーは、保険加入を助成すれば直接的な推進力になるとし、政府プログラムを請け負う保険会社に税制面のインセンティブを施すなどの案を挙げた。

ムーディーズのアナリスト、ケルビン・クォック氏は、中国における災害保険が保険会社にとって実行可能な事業になるかどうかは、時の経過とともに分かってくるとみている。「保険料への補助など政府の政策によって、保険会社が慢性的に損失を出し続けるのを防げるようになると期待している」と同氏は語った。

(Cheng Leng記者 Ryan Woo記者)

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