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コラム

コラム:来年の中国成長率目標、習氏の「権力」知る手がかりに

[香港 20日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国は、世界金融危機以降で最も重要な国内総生産(GDP)成長率目標を設定する態勢に入った。かつて経験がないような一連の経済的試練に直面する中国は、成長率目標を今年の「6%以上」から、不良債権問題の重圧が持続的にかかり続けることを意味する水準まで、大きく下方修正する意向を示唆している。

 12月20日、中国は、世界金融危機以降で最も重要な国内総生産(GDP)成長率目標を設定する態勢に入った。写真は11月、北京の街頭で米中首脳会談のニュースを伝えるモニター(2021年 ロイター/Thomas Peter)

習近平国家主席が選択する目標は、中国をより効率的な発展の道筋に持っていくために、同氏がどれだけの力を備えているかを探る手掛かりになるだろう。  

先のコロナ禍で受けた痛手が消えていく中で、中国共産党には、実態以上に高まっている経済へのさまざまな期待を押し下げるべきあらゆる理由がそろっている。

中央政府は、新変異株の脅威の先まで見据えて、既に不動産セクターの金融リスク抑制に乗り出した。中国の経済活動の25%から3割強を担う不動産セクターが、中国恒大集団などによって動揺する中で、当局はその崩壊を防ぐために全力を注いでいる。2兆5000億ドルに上る販売前物件の工事完成を見届け、消費者信頼感の急低下を避けるというのも対策の1つだ。

ロックダウン(都市封鎖)の下で、小売売上高や国内観光、サービス部門は低迷が続いたが、そうしたマイナスをある程度帳消しにしたのが、海外からの医療機器と電子商取引関連の需要だった。

だが、貿易相手の経済正常化に伴って、この流れがいつまでも続くかどうか不確かだ。また、生産性に関して言えば、中国の経済成長に貢献するどころか足を引っ張ってきた。国有企業優先の政策も、生産性低下に拍車をかけている。

今年第3・四半期の成長率が4.9%にとどまった中国経済は、来年減速するとの見方が広がっている。あるいは単なる減速よりもひどい状況になってもおかしくない。

習氏は「洪水のような景気刺激策」が当面実施されることはないと、投資家を納得させる努力を続けている。当局が融資や債券のデフォルト(債務不履行)を甘受しながら、大幅な利下げは差し控える姿勢だとうかがえる。これは成長率が4%近くと、政府顧問が提言している来年目標の5.5%程度よりはるかに低くなることを意味する。

より保守的な成長率目標が採用されれば、中国経済の構造転換に対する習氏の本気度が示される。その場合の危険は、2015年の反汚職運動時のように、官僚機構が動かなくなることだ。地方政府の資金繰り圧迫にもつながる。

一方で、住宅とインフラの投資に再び寛容な顔を見せると、GDPの不均衡は解消せず、債務の対GDP比は一段と限界に迫る上に、当局による厳しい債務圧縮の掛け声は表面だけだと投資家に見くびられるだろう。

習氏が金融システムに今後も与信縮小路線を維持させ続けることができるとすれば、同氏の権力の絶大さを物語るこれまでで最も強力なサインになる。

●背景となるニュース

*中国政府の顧問は、来年の経済成長率目標について、今年の「6%以上」より低めに設定するよう提言する。ロイターが伝えた。不動産セクターの落ち込みや輸出鈍化、消費の足を引っ張っている新型コロナウイルス関連規制などの逆風が強まっていることが背景にある。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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