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コラム

コラム:緩和された中国不動産規制、投機許容の有無が今後の鍵

[香港 16日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国は、実際にはあと何戸新たな住宅を建てる必要があるのだろうか―。習近平国家主席の政策により、中国の不動産業界では大量のコンドミニアムが空室のまま放置され、家計の債務が爆発し、システミックリスクに拍車がかかった。しかし習氏の望み通り、投機目的ではなく実際に住むための住宅建築に絞るようなら、かつて国内総生産(GDP)18兆ドルの4分の1に寄与した不動産セクターの需要は衰えるだろう。

 中国の不動産業界では習近平国家主席の政策により、大量のコンドミニアムが空室のまま放置され、家計の債務が爆発し、システミックリスクに拍車がかかった。写真は上海の光復里地区で、新しいマンションの前に残された古い家屋。2016年4月撮影(2023年 ロイター/Aly Song)

2020年、不動産開発業者の負債を強制的に減らす、いわゆる「三条紅線(三本のレッドライン)」政策が実施されると、デフォルト(債務不履行)が続出。不動産はもはや無リスクで値上がりが狙える投機対象ではなくなった、というメッセージを送ったのは良いことだが、その副作用はひどかった。資金繰りに窮した不動産開発業者は販売前のプロジェクトを未完成のまま放り出し、住宅価格が下落して消費者信頼感を損なった。財源の大半を土地売却に頼っている地方政府も圧迫された。

経済全体が不安定化すると、中央政府は開発業者向けの貸し出し制限の一部を緩和し始めた。多くの都市は住宅ローンの頭金比率を引き下げた。

ただ、こうした緩和は市場を底打ちさせるだけで、成長を復活させるまでには至らない。中央政府レベルでは、金融政策による景気刺激が相変わらず控えめで、住宅ローン規制の緩和も初めての住宅購入に絞られている。地方政府は販売済み物件の建築を完成させようと努めている状態だ。

これでは大した景気付けにはならない。最新の公式データで約3000億ドルの負債を抱えている中国恒大集団はまだ負債を再編していない。CNI不動産指数は2020年のピークから40%も下がったままで、多くの開発業者の社債利回りは2桁台で推移し続けている。

世帯形成スピードの減速と都市化を考えれば、2035年まで年間5億─7億5000万平方メートル相当の住宅を建設すれば実需は満たせると、ローディアム・グループのアナリストチームは推計している。ピーク時の2021年3月に建設された年率換算17億平方メートルに比べ、大幅に減る計算だ。しかもこの推計は、大量の空室物件が突然売り出されないことを前提にしている。業界が本当に投機向けの建設をやめるなら、GDPにおける不動産の寄与は現在の25%から、日本の12%に近い水準まで下がる可能性がある。

習主席はそれで構わないのかもしれない。住宅への投資が減れば、より良い用途に使える資金が解放される可能性がある。しかし地方政府幹部らは不服のようだ。湖南省の共産党トップは8月、「不動産を3件持っているなら、4件目を買おう」と呼びかける動画を公表し、拡散された。2023年の中国経済の回復スピードは、習氏が不動産に関する自らの主義主張をどこまで貫くかにかかっている。

●背景となるニュース

*貝殻研究院の調査によると、中国50都市の1月前半の1日平均中古住宅販売件数は12月比で39%増加し、不動産セクターの回復ぶりが示された。

*住宅ローンと与信に関する規制が緩和されたため、一部の不動産開発業者の社債と株価が上昇。CSI300不動産指数は年初から4%上昇した。

*12月15日公表の公式データによると、11月の不動産価格は4カ月連続で下落した。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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