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アングル:中国人民銀が預金準備率引き下げ、コロナ対策解除の困難さ反映

[ロンドン 9日 ロイター] - 中国人民銀行が9日、預金準備率(RRR)を50ベーシスポイント(bp)引き下げて長期流動性を1兆元(1540億ドル)増やす決断を下したことで、投資家は改めて思い知らされた。新型コロナウイルスのパンデミックが続いているうちは、たとえ世界最大級の経済規模を誇る国でも、時折政府のてこ入れが必要になりそうだということを――。

7月9日、 中国人民銀行が預金準備率(RRR)を50ベーシスポイント(bp)引き下げて長期流動性を1兆元(1540億ドル)増やす決断を下したことで、投資家は改めて思い知らされた。 北京の人民銀前え2018年9月撮影(2021年 ロイター/Jason Lee)

RRR引き下げは、世界中に新型コロナウイルス感染が急拡大した昨年4月以来。そして重要なのは、与信の伸びが制御不能に高まるのを防ぎたがっている当局がこれまで9カ月にわたって進めてきた緩やかな金融引き締めに終止符が打たれた点にある。

モルガン・スタンレーのアナリストチームは「これはカウンターシクリカル的な引き締めから緩和バイアスへの転換を意味すると考えている」と述べ、その背景として感染再拡大局面の到来や供給網混乱、国内消費のさらなる鈍化で最近経済成長が変調をきたしていることを挙げた。

一方、UBSの新興国市場戦略責任者マニク・ナライン氏は、RRR引き下げは人民銀行が政策運営を急転換したのではなく、あくまで微調整の一環だと解説した。増加した長期流動性1兆元のうちおよそ4000億元は、中期貸出制度(MLF)の返済に利用される公算が大きく、近く7000億-7500億元規模の納税時期もやってくる。

ただ国際的な視点に立てば、RRR引き下げは新型コロナウイルス対策の巻き戻しがどの国・地域にとっても順調に進むわけではないと肝に銘じさせてくれる。

ナライン氏は「中国は(新型コロナ対策を)世界で最初に打ち出し、真っ先に出口に向かった。だから国際的な意味を考えるなら、経済の足場は幾分弱く、インフレは中期的に許容できないほどのダメージを与えそうにはない、と人民銀行が示しているというメッセージを読み取れる」と指摘した。

RRR引き下げに対して、債券市場は中期的な金利低下を織り込む形で反応しているように見える。中国の10年国債利回りは今回の発表前から、利下げ観測によって週間ベースで今年最大の低下幅を記録していた。

多くの中国専門家が、コロナ禍に伴う待機需要はもうピークを過ぎ、輸出軟化や生産者物価高騰、政府の不動産規制によって成長率は鈍化すると考えているのも確かだ。

それでも今年の中国経済は、政府目標の6%より高い8%強には達する見込みで、本格的な金融緩和を迫る大きな圧力は生じていないことが分かる。

アッシュモア・グループの副調査責任者グスタボ・メデイロス氏は「われわれは財政政策が引き続き、中小企業などパンデミックで最も痛手を受けたセクターに絞って行われるとみている。不動産市場へのマクロ・プルーデンシャル面での引き締め措置も維持されるだろう」と述べた。

UBSのナライン氏は、他の主要新興国もいずれ中国と同じような事態に直面する公算が大きいと予想。「私がメキシコかブラジルの中銀総裁で、利上げをしているとすれば、そうした利上げサイクルが恐らく浅めにとどまると教えてくれるのが今回のRRR引き下げだろう」と付け加えた。

(Marc Jones記者、Tom Arnold記者)

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