February 6, 2019 / 5:50 AM / 6 months ago

焦点:中国石油大手、天然ガス採掘へ急発進 習主席の大号令で

[シンガポール/北京 1日 ロイター] - 中国の国有エネルギー巨大企業は今年、国内での掘削関連投資を2016年以来最高の水準にまで拡大し始めている。国内供給の強化を目指して一斉に動く中、焦点となっているのは新たな天然ガス田の発見だ。

 2月1日、中国の国有エネルギー巨大企業は今年、国内での掘削関連投資を2016年以来最高の水準にまで拡大し始めている。写真は、中国海洋石油の石油掘削装置。海南省沖で昨年3月撮影。提供写真(2019年 ロイター/China Stringer Network)

習近平国家主席が昨年8月、国内エネルギー安全保障の強化を呼びかけたことに応えて、中国の石油大手3社である中国石油天然ガス(ペトロチャイナ)、中国石油化工(シノペック)、中国海洋石油(CNOOC)は、数千本もの試掘井を新設している。舞台は、国内北西部の新疆ウイグル自治区に広がる人里離れた砂漠地帯の油層、南西部四川省のシェール層、そして南シナ海の深海油田だ。

各社ともこれまでよりもリスク選好を強めており、投資拡大のペースは実際の生産よりも探査分野の方が高くなっている。国有石油会社の幹部やコンサルタント会社ウッド・マッケンジーのアナリストらによれば、こうした強気の裏には中国政府の政治的な後押しや1バレル60ドル(約6600円)近い石油価格があるという。

「国内で探査・開発を拡大し攻勢に出ようという国務院の呼びかけを、私たちは断固として推進する」との王宜林ペトロチャイナ会長の言葉を12月の社内報は引用している。

海底油田を専門とするCNOOC(0883.HK)は先週、2014年以来最高となる今年の投資目標の実現に自信を持っているとし、国内探査事業に2016年の2倍の投資を行うと宣言した。

CNOOCの袁光宇最高経営責任者(CEO)は先週、「石油価格が50ドル、60ドル、70ドルであれば、まずまずの利益を上げている」と述べた。

ペトロチャイナ(0857.HK)の親会社であり、アジア最大の石油・天然ガス生産企業である中国石油天然気集団(CNPC)は、リスクの高い探査関連投資を、昨年の10億元(約160億円)から今年は50億元(約810億円)へと5倍に拡大した。

だがアナリストによれば、主要な石油貯留層はすでに開発されており、新たに発見される貯留層は小規模で高コストになる傾向を示しているため、試掘を増やしても、縮小が予想される中国の石油生産量を反転させる可能性は小さいという。

中国は今後数年間、世界最大の石油輸入国のままであり、過去10年間のほとんどの時期を通じて世界5位だった石油生産量の点でも、2020年には10位に転落するとウッド・マッケンジーは予想する。

「中国は引き続き近年と同じ傾向を示す可能性が高いだろう。つまり、新規の天然ガス生産に圧倒的に注力し、それに伴って石油生産は減少を続けるという傾向だ」と、同社のアジア太平洋上流部門調査ディレクターを務めるアンガス・ロジャー氏は語る。

<先頭に立つペトロチャイナ>

中国政府がエネルギー輸入依存の抑制と環境面での目標達成に取り組む中で、天然ガス生産量は2020年まで年間6─8%のペースで拡大するとアナリストは予想する。

中国の天然ガス消費量は世界3位で、昨年10月には輸入量でも日本を抜いて世界最大となった。

天然ガス増産の先頭に立つのは、国内の天然ガス生産量の約7割を占めるペトロチャイナであり、親会社CNPCのウェブサイトによれば、南西部の四川省、北部のオルドス高原、北西部のタリム盆地に数千カ所の採掘井を新設している。

同社は四川省のシェール層開発も拡大しており、中国では歴史の浅いシェールガス開発に先鞭(せんべん)をつけたシノペック(0386.HK)に追いつこうとしている。シェールガス採掘は10年近く前から行われているが、地質学上の複雑な問題と開発コストの高さがたたり、中国の天然ガス生産に占める比率はわずか6%にとどまっている。

ペトロチャイナによる昨年のシェールガス生産量は40%増の43億立方メートル、これに対してシノペックの生産量はほぼ横ばいの60億立方メートルだった。

ウッド・マッケンジーのアナリストで中国石油大手による投資に注目しているマックス・ペトロフ氏は、「CNPCは四川省のシェール層で最大かつ最良の鉱区を支配しており、過去3、4カ月、投資や人的資本投入を積極的に強化している」と話す。

シノペックはコメントを拒否した。CNPCもロイターからのコメント要請に応じなかった。

<深海油田>

2020年以降については、南シナ海における深海ガス田の発見が、中国の天然ガス生産の拡大に貢献することになるだろう。たとえば、中国最南端の海南省から約150キロ離れた陵水17─2ガス田だ。

確認可採埋蔵量が2兆5000億立方フィートと推定される陵水ガス田は、CNOOCが保有する単一の深海ガス田としては最大規模である。BGグループは2010年に近隣の陵水22─1─1で探査のための試掘を行ったが、ほとんど成功を収めずに撤退した。

CNOOCは2025年までに天然ガス埋蔵量を50%拡大することを目指しており、珠江口沖ガス田における採掘を強化し、これより先に大きなガス層が発見された海南省に近い崖城・東方などのガス田も拡張していくものとみられる。

「政府が環境保護を推進する中で、天然ガスの人気はますます高まっていく。長期的なオフテイク(引き取り)契約のもとでは、石油よりも相対的なリスクは小さい」とある国有石油会社幹部は語る。

だが、南シナ海の中でも領有権を巡り対立する水域においては、各社とも試掘を保留している。アナリストによれば、その理由は技術上の困難に加えて、グローバル規模の経験豊富なパートナーが、こうした水域での探査を進めるリスクを負おうとしないためだ。

中国政府は南シナ海の約9割の水域について領有権を主張している。この水域の埋蔵エネルギー資源に関する試算には幅があるが、地質学者は、石油よりも天然ガスの方が多いだろうと考えている。この重要な水域については、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイ、台湾もその一部について領有権を主張している。

<短い可採期間>

シノペック(600028.SS)はこれまで採掘事業よりも精製事業が中心であり、国有石油大手の中では保有するリソースも最も小さいため、ライバルに後れをとる可能性がある、とアナリストは指摘する。

各社の提出書類を元に計算すると、2017年末までにシノペックが保有していた石油の確認埋蔵量で生産を続けられる期間は6年に満たない可能性がある。これに比べて、CNOOCの場合は10年だ。またシノペックが保有する天然ガスの可採年数も8年であり、ペトロチャイナの24年には大きく見劣りがする。

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シノペックは今年、四川省で同社がターゲットとする2カ所目のシェール層の開発を含め、投資を加速させるものとみられる。だが同社の関係者によれば、新たな発見に向けた気運は衰えているという。

「シノペックはそういった問題を認識しているが、それを何とか解決しようという意欲が経営トップのところで妨げられているように見える。というのも、むしろ下流部門の石油化学企業であるという自己認識があるからだ」とウッド・マッケンジーのペトロフ氏は語った。

(翻訳:エァクレーレン)

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