[北京 9日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)が発表した統計によると、6月末の中国の外貨準備高は前月比15億1000万ドル増の3兆1120億ドルだった。米中貿易摩擦を巡る懸念が人民元相場を圧迫するなか、予想外に増加した。
ロイターがまとめたエコノミスト予想は106億ドル減の3兆1000億ドル。
5月は142億3000万ドル減少していた。
中国国家外為管理局(SAFE)は9日、外貨準備が小幅に増加したことについて、資産価格の変動が理由と説明した。[nL4N1U51OH]
SAFEは、外貨準備高について、変動はあるものの、今後も引き続き安定的に推移するとの見通しを示した。
アナリストは、外貨準備が小幅増加したことについて、米国債価格の上昇が背景だと指摘。
交通銀行のチーフ・ファイナンシャル・アナリスト、Er Yongjian氏は「6月は米国債利回りが低下した。評価額が要因となって、外貨準備が増加した」と指摘した。
トムソン・ロイターのデータによると、6月の米ドル指数は0.7%上昇。5月は2.3%上昇だった。
中国民生銀行のチーフアナリスト、Wen Bin氏は「ドル高が6月の外貨準備に及ぼした影響は、5月ほどではなかった」との見方を示した。
人民元の対米ドル相場は4月以降、下落傾向に転じ、6月だけで3.25%下落と、月間で過去最大の下落率を記録。
6月末の金準備高は740億7100万ドル相当で、5月末の773億2300万ドル相当から減少した。
米国と中国は6日、340億ドル相当の輸入品に対する関税を相互に発動した。関税発動を控え、人民元取引と中国株式市場では緊張感が広がっていた。[nL4N1U22E3]
中米貿易摩擦の激化を受け、中国からの資本流出に対する懸念が高まっている。
内部関係者によると、中国政府は人民元の下落をおおむね好ましいものととらえており、市場介入の実施は急激で不安定な下落の阻止や市場の信頼回復を目的とする時のみになるとみている。
当局は、株と為替が急落した2015年のように人民元防衛に巨額の外貨準備を活用する必要はないという自信を持っているという。[nL4N1U03BW]
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