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ブログ:「鬼城」と化した2000万都市、北京・上海から人影消える

[北京 9日 ロイター] - 全員がきちんとマスクを着け、消毒薬を持ったことを確認した上で、チャオさん一家は景山公園へと向かった。北京市の紫禁城脇にある、かつては皇帝一族しか立ち入れなかった聖域である。

 2月9日、中国の金融ハブである上海をはじめ、世界最多の人口を擁する各地の都市は人影絶えたゴーストタウン(鬼城)と化した。写真は上海の東方明珠塔がある上海の浦東新区。2月5日撮影(2020年 ロイター/Aly Song)

珍しく、雪は2日にわたって降り続いた。人口2150万人の北京。いつもなら何十万人もの人たちが雪景色をカメラに収め、雪遊びに興じただろう。だが、街角に人々の姿はない。公園はひっそりとし、ただ鳥のさえずりが聞こえるばかりだ。

チャオさん一家は全員がきちんとマスクを着け、消毒薬を持ったことを確認した上で、雪化粧した景山公園へと向かった。2月6日、北京で撮影(2020年 ロイター/Carlos Garcia Rawlins

北京だけではない。中国の金融ハブである上海をはじめ、世界最多の人口を擁する各地の都市は、人影絶えたゴーストタウン(鬼城)と化した。政府が春節の休日を延長し、住民らに外出自粛を要請したからだ。理由は、新型コロナウイルスである。

北京のショッピングモールは客の姿がみえない。2月5日撮影(2020年 ロイター/Carlos Garcia Rawlins)

「新型コロナウイルスをめぐる状況が厳しいことは分かっている。しかし、感染の震源地は遠く離れているから、ここは大丈夫なはずだ。(略)仕事も休みで、家族とともに雪を楽しむには、絶好のチャンスだ」と、11歳の娘を持つチャオさんは言う。

2月9日時点で、中国本土おける新型コロナウイルス肺炎の死者は900人を超えた感染者は4万人以上に達した。症例の4分の3以上は、ウイルスが最初に確認された震源地、北京から1000キロ以上離れた湖北省で確認されている。

人影まばらな北京のショッピングモール。女性がマスク姿で歩いている。2月4日撮影(2020年 ロイター/Carlos Garcia Rawlins)

だが、外出に踏み切るほど勇気ある人たちはごくわずかだ。景山公園の警備員によれば、珍しく雪が降ったというのに、観光客は例年の3分の1にも満たないという。

紫禁城のすぐ脇という、北京の雪景色を写真に撮るには最高のスポットの1つであるにもかかわらず、人々が集団になっている様子は見られず、いつものような観光バスや各地の方言を話す団体客も見当たらない。

「昨年雪が降ったときは、何時間か職場を離れて写真を撮るためにこの公園に来たが、何重にも人垣ができていた」と語るのは、ヤンという姓を名乗る30代の男性だ。「でも今年は撮影スポットを確保するのにまったく苦労しない。ウイルスのせいでみんな家に引きこもっている」

雪が積もった紫禁城でマスクを着け、自撮りする女性。2月6日、北京で撮影(2020年 ロイター/Carlos Garcia Rawlins)

大きな百貨店や飲食店が立ち並ぶ人気の繁華街、王府井。例年であれば春節期間中は非常に混雑し、移動するだけでも苦労するほどだと、ここで働く警備員は話す。

「ご覧のとおり、今は観光客より警備員と清掃員の方が多いくらいだ」と、その中の1人は語る。

大きな百貨店や飲食店が立ち並ぶ人気の繁華街、王府井をマスク姿で歩く警備員。2月6日、北京で撮影(2020年 /Carlos Garcia Rawlins)

小売りや飲食店は、新型肺炎の感染拡大で深刻な打撃を受けている。コロナウイルスの拡散を阻止しようと、人が集まるイベントだけでなく、グループでの食事さえ当局が禁じたためだ。

「いつもなら席が空くのを外で待たなければならない」と、あるレストランの店員は言う。50卓以上あるテーブルのうち、ランチタイムのピークでも埋まっているのは5つだけだ。

上海のバーは客の姿がほとんどいない。2月7日撮影(2020年 ロイター/Aly Song)

北京の有名なグルメストリート、鬼街に並ぶ100店以上の飲食店のうち、営業しているのはほんの一握りだ。残りの店は、あとどれだけ持ちこたえられるか頭を抱えている。

(撮影:Aly Song and Carlos Garcia、翻訳:エァクレーレン)

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