January 22, 2020 / 3:02 AM / a month ago

UPDATE 1-〔情報BOX〕新型ウイルスが経済・市場に与える影響

(内容を追加しました)

[21日 ロイター] - 中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスが原因とみられる新型肺炎の感染拡大懸念が、世界中の金融市場を揺るがしている。投資家らは、2003年に発生し約800人の死者を出したSARS(重症急性呼吸器症候群)との比較から経済への影響を読み取ろうとしている。

1) 世界の経済・金融市場への影響

経済学者のビクトリア・ファン氏、ディーン・ジェームソン氏、ローレンス・サマーズ氏の2017年の論文によると、パンデミック(大流行)リスクから予想される年間損失額は世界の所得の0.6%に相当する年間約5000億ドル。

米国医学アカデミーのグローバルヘルス・リスクフレームワーク委員会による2016年の研究では、21世紀にパンデミックにかかるコストは6兆ドル以上(年間600億ドル)との試算が示されている。

ただし、一つの要因が世界市場に及ぼす影響を厳密に特定することは容易ではない。例えば、SARSの流行時には米国がイラクに侵攻するなど、複数の要因が同時期に発生しているためだ。

一方、株価の反応は限定的だったことが示されている。2003年に中国当局がSARS発生を世界保健機関(WHO)に報告した際、MSCI中国指数は逆行安となったが、6カ月後には値を回復した。

2) SARS発生の経済的コスト (2003年)

エコノミストのリー・ジョンファ氏とワーウィック・マッキビン氏が発表した論文によると、2003年のSARSによる経済的損失は400億ドルだった。

国際航空運送協会(IATA)は2006年5月、SARS流行による世界の経済成長率への打撃は0.1%だったとの試算を発表した。

3) 市場の勝者と敗者

感染拡大により医薬品株が恩恵を受ける一方、観光業や旅行関連株は売り込まれる傾向にある。SARS流行時は中国の小売売上高がさえず、消費マインドの冷え込みを示した。

直近21日の中国株式市場では、医薬品やマスクのメーカーが急騰する一方、LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)など中国に大きな市場を持つ高級ブランド関連株が下落した。

国際航空運送協会(IATA)によると、2003年にアジア太平洋地域の航空会社は390億人キロの有償旅客キロ(RPK)を失った。これは2003年の年間輸送量の約8%に相当する。これにより、同地域の航空会社は60億ドルの売り上げ減になったとみられる。

一方、北米の航空会社が失ったRPKは128億人キロ。これは世界中の輸送量の3.7%に相当し、売上高には10億ドルのマイナスとなった。

4) 致死率と経済的影響

国際通貨基金(IMF)が発表したデイビッド・ブルーム氏ら3人の共著の論文によると、健康への影響が限定的な場合であっても、経済的な影響は急速に拡大する可能性がある。2014年のエボラ出血熱の流行時のリベリアの例を見ると、死亡率は低下したにも関わらず、同期間に国内総生産(GDP)成長率は低下した。

INGアジア太平洋地域のチーフエコノミスト、ロバート・カーネル氏は「人々を恐れさせたのはSARSの致死率だ」と指摘。「人々は公共交通機関を利用せず仕事も休み、買い物や娯楽からも離れた。SARS流行は経済に多大な影響を与えたが、そのほとんどすべてが、人々が予防的行動をとったことによる間接的なものだった」と述べた。

2003年のSARS流行が中国と香港の経済に与えた影響はGDPの1%─3%、東アジア全体の損失は200億ドルと推定されている。

また、カナダ経済に及ぼした影響は約50億ドル(GDPの0.6%)、米国経済への影響は70億ドル超とみられる。

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