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コラム

コラム:中国の住宅バブルがはらむ危うさ、対策が急務  

[北京 19日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国の住宅価格はバブル状態にあり、いつ破裂してもおかしくない。深セン、上海、北京などの第1級主要都市の8月新築住宅価格は、前年比上昇率が最大37%近くに達した。価格はその他の都市でも上昇している。こうした価格高騰は旧来型経済がなお存在することをはっきり示すとともに、不満が高まる温床の1つになっている。

 9月19日、中国の住宅価格はバブル状態にあり、いつ破裂してもおかしくない。写真は上海の光復里地区で犬を連れて歩く女性。4月撮影(2016年 ロイター/Aly Song)

大都市は優れた人材や事業を引き寄せている。上海ではこの数週間、1世帯が購入できる2軒目住宅が制限されるとのうわさが流れ、幸せそうな夫婦が離婚届け提出のために列を作る騒ぎになった。

もっと心配なのは地方の動きだ。内陸にある安徽省の省都、合肥は新築住宅価格が40%上昇した。安徽省は労働力の供給地として知られる。低コストのハイテク産業の中心地への脱皮を図り、昨年のGDP成長率は10.5%に達した。それでもこの価格上昇は行き過ぎだとの見方が多い。

当局も神経を尖らせている。中国人民銀行(中央銀行)のチーフエコノミストの馬駿氏は、性急な動きは慎むべきだと釘を刺しつつ、不動産市場への資本流入を抑制するために対策を講じるべきだと主張した。18日の新華社の報道によると、人民銀行が2万人を対象に実施した調査では半数以上が住宅価格は高過ぎて受け入れられないと回答した。

当局が住宅バブルと闘おうと思えば、そのための手段は豊富にそろっている。企業の負債圧縮が進む中、銀行は利益追求のために住宅ローンの貸し出しを急激に増やしており、規制当局が住宅ローンの伸びに制限を設けるかもしれない。多くの都市では2軒目住宅購入の頭金比率は物件価格の40%程度に設定されているが、以前は70%程度だった。

また多くの都市では非居住者に対してのみ住宅購入を制限しており、この規制の適用対象を居住者にも広げる可能性がある。

こうした取り組みはある程度抵抗を受けるだろう。不動産価格や建設活動の持ち直しは上半期の経済成長を支えた。地方政府の当局者は成長目標の達成に絡んで、明るい見通しを積極的に掲げている。しかし中国がバブルの調整を先延ばしすればするほど、痛みは増すだろう。

●背景となるニュース

*中国国家統計局が19日発表した8月の主要70都市の新築住宅平均価格は前年比9.2%上昇し、2014年1月に記録した9.6%以来の高い伸びとなった。

*深センが36.8%上昇するなど、第1級(Tier1)都市は前年比で2桁の上昇率となった。上海は31%、北京は24%だった。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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