[北京 13日 ロイター] - 中国の李強・新首相は13日、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)閉幕に当たり記者会見を行い、起業家の事業環境は改善すると表明、企業は所有形態にかかわらず、平等に扱われると述べた。
中国の民間企業は近年、規制強化で打撃を受けており、懸念の払拭を図った。
首相は、将来性がある中国の民間経済には多くの「競争路」があると発言。中国は企業の財産権と起業家の利益を保護すると述べた。
国内民間部門の環境が改善し、発展の余地が拡大するとの認識も示した。
首相は、全てのレベルの当局者に対し起業家と「友人」になるよう呼びかけた。
「昨年は民間経済の発展について一部に誤った意見があり、一部の起業家の間で懸念が出ていた」とした上で「民間の起業家や企業は環境の改善と発展余地の拡大を享受できるだろう。われわれは、全ての種類の市場組織のために公平な環境を整備する。民間起業家の成長と繁栄を支援するため、さらに努力する」と述べた。
国内経済はこの2カ月で安定と回復の兆候を示しているものの、年内には多くの困難に直面するとも述べ、今年の成長率目標である5%前後の達成は容易ではないとの見方を示した。
「経済発展は雇用創出の根本的な解決策だ」とし、今後も「雇用第一」の戦略を追求する方針を示した。ただ、大卒者の増加で今年の労働市場に圧力がかかることも認めた。
また「香港とマカオが直面している困難は一時的だ」とし、中央政府が香港とマカオの経済成長を全面的に支援すると表明した。
中国は国際投資の観点では依然として「高地」だと指摘し、外部環境の変化にかかわらず、開放を進める意向も示した。事業環境とサービスを改善するとしている。
新型コロナウイルス対策については、大きな勝利を収めたと主張。政府の戦略と政策は完全に正しかったと述べた。
食料の確保は保証されており、食料生産の拡大を目指す国の政策が増えるとも発言。
国家機構改革を通じて政府を変えていく方針も示した。いかなる汚職も許容しない方針を堅持する必要があるとも述べた。
会見時間は90分未満。前首相の全人代での会見は2時間を超えることもあった。
李強氏は上海市の元トップで、習近平国家主席の側近。投資家は企業寄りの政策が増えることに期待を寄せているが、アナリストは今回の会見だけでは今後の行方は分からないと指摘。
コンファレンスボード中国センターの責任者Alfredo Montufar-Helu氏は、国有企業が民間企業よりも資金調達で有利な現状に政府が対処する必要があると指摘。新型コロナウイルス流行で大きな打撃を受けた民間企業向けの刺激策も検討すべきだと述べた。
同氏は「経済成長の安定と自立自強という政府目標を達成するには、民間部門の参加が明らかに必要だ。民間部門は中国の国内総生産(GDP)伸び率の半分以上に寄与し、雇用の大半を占めている。ただ悪魔は細部に宿る」と語った。
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」