[北京 14日 ロイター] - 中国国家統計局が14日発表した各種経済指標によると、1─2月の鉱工業生産は17年ぶりの低い伸びにとどまった。中国経済の一段の弱さが示された。
今後さらなる景気支援策が打ち出される可能性が高いとみられている。
一方、政府が道路・鉄道整備プロジェクトを精力的に進める中、固定資産投資は伸びが加速した。
小売売上高は伸び悩んでいるものの、安定しており、中国経済が急速な減速局面にないことも浮き彫りとなった。
中国経済は今年、29年ぶりの低成長に陥ると見込まれており、政府は景気支援を強化している。過去に実施したような大規模な刺激策は取らないとしているが、李克強首相は先週、追加の減税・インフラ投資を発表した。
キャピタル・エコノミクスはリポートで「今回の指標は、年初の中国経済が急減速したとの懸念を一部和らげるものだ。ただ、短期的な見通しは依然として暗いようだ」と指摘した。
特にアナリストからは、政府が昨年、鉄道・道路建設事業を優先的に承認したものの、インフラ投資が期待していたほど伸びていないとの指摘が出ている。
1─2月の鉱工業生産は前年同期比5.3%増。伸び率は予想の5.5%を下回り、2002年初頭以来の低水準となった。昨年12月は5.7%増だった。
1─2月の固定資産投資は6.1%増。予想の6.0%増を上回った。2018年は5.9%増だった。
1─2月の民間固定資産投資は7.5%増。18年の伸びは8.7%だった。民間投資は、中国の投資全体の約60%に相当する。
インフラ支出の伸び率は前年比4.3%。昨年の伸びは3.8%だった。
1─2月の小売売上高は8.2%増で、伸び率は昨年12月と同水準だった。予想の8.1%増は小幅に上回った。
中国は旧正月(春節)による統計のゆがみを軽減するため1─2月のデータを合算している。
ただ、4月に発表される第1・四半期の統計を見るまで、中国経済の全体像は把握できないのではないかとの見方も一部で出ている。
国家統計局によると、季節要因によるゆがみを修正すると、1─2月の生産は6.1%増になるという。
固定資産投資の伸びの大半は、不動産投資の拡大によるものとみられる。1─2月の不動産投資は5年ぶりの高い伸びとなった。
小売売上高の伸びは15年ぶりの低水準付近。
国家発展改革委員会は1月、環境に優しい家電や乗用車など高額品の消費喚起策を発表したが、今回の統計では、家電や家具の販売が年初に大きく伸び悩んだことが明らかになった。
不動産市場の冷え込みに対する懸念が浮上し、住宅販売が3.6%減少したことが関係しているとみられる。
国家統計局によると、標本調査に基づく2月の失業率は5.3%で、昨年12月の4.9%から悪化した。今年の政府目標は5.5%。
*内容を追加しました。
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