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焦点:JPモルガンの新指数案、中国巡る投資家のジレンマ反映

[香港 1日 ロイター] - グローバルポートフォリオは中国の真の経済的ウエートを反映すべきなのか、それとも中国の不透明さとリスクを考慮して調整されるべきなのか。この問いは世界の投資家を二分し、JPモルガンのような指数作成会社は両陣営に迎合せざるを得ないようだ。

 グローバルポートフォリオは中国の真の経済的ウエートを反映すべきなのか、それとも中国の不透明さとリスクを考慮して調整されるべきなのか。この問いは世界の投資家を二分し、JPモルガンのような指数作成会社は両陣営に迎合せざるを得ないようだ。写真はニューヨークで2017年1月撮影(2023年 ロイター/Stephanie Keith)

JPモルガンは今のところ、人気の高いアジアクレジット指数JACIの代替として、中国のウエートを低くした指数を提案するにとどまっている。

しかし、この新しい指数は、恣意的な取り締まり、社会主義的な政策傾向、成長優先に違和感を覚えるグローバル投資家が中国経済へのエクスポージャーを最小限に抑える方法を求める中で人気を集めるに違いない。

中国の不動産セクターは世界のハイイールド債の大部分を占め、2020年以降は過剰債務とレバレッジの削減を目的とした当局の政策に振り回されており、主要な懸念材料となっている。

ナティクシス・コーポレート・アンド・インベストメント・バンクのシニアエコノミスト、ゲイリー・ン氏は、過去1年間の不動産会社の債務不履行(デフォルト)が大規模で、件数も増加していることに言及。これを背景に、世界の指数プロバイダーは中国のウエートを増やす方向から減らす方向にかじを切ったと指摘する。

「この逆転現象を引き起こしたのはリスク回避行動だと思う。投資家がこれらの債券を評価することは単純に難しく、このセクターがどこに向かっているのか誰も正確には分からない」と語る。

同氏の考えによると、指数プロバイダーは特定の種類の資産を追跡することに違和感を覚える投資家により多くの選択肢を提供しようとしているだけだ。

投資家も保有残高を減らしている。リフィニティブ・リッパ―のデータによると、中国債券に特化したオフショアファンドは22年6月から資金が毎月流出しており、1月までの流出額は9億1100万ドルに達している。

関係筋によると、JPモルガンは「JACIアジア・パシフィック」と名付けられた新指数で中国のウエートを30%近くにまで、JACIの約43%から下げたい考えだ。新指数は日本、オーストラリア、ニュージーランド、パプアニューギニアなどの市場に対するエクスポージャーを高める。

<分散トレンド>

債券投資家によれば、中国のハイイールド債はピーク時、JPモルガンの「アジア・クレジット・ハイイールド指数」の半分を占めていた。しかし、相次ぐ上場廃止と価格の低迷により、そのウエートは30%を下回るまで低下している。

過去2年では30社以上の中国デベロッパーがオフショア債のデフォルトを引き起こしており、そのため他市場への分散が必要になっているとファンドマネジャーは言う。

パインブリッジ・アジア太平洋ハイイールド債ファンドのポートフォリオマネジャー、シー・イーチュン氏は「分散投資の流れは変わらないし、中国不動産のウエートが以前のような水準に戻ることはないだろう」と話す。

投資管理会社ペイデン&ライジェル(ロサンゼルス)の投資適格クレジット戦略担当責任者、ナタリー・トレビシック氏は、JPモルガンの提案に驚きはなかったと語る。

「われわれ自身、多くの個別勘定を運用しており、一定の個人が中国を除く新興国市場指数について尋ねてくるので、これはトレンドだと思う」と指摘。「かなりのタイト水準で取引されている非常に質の高い発行体もあるため、中国はかなり二分化している」と述べた。

一方、「中国を除外すれば、ベンチマークや商品の多様性が損なわれる」(T・ロウ・プライスの中国・新興国市場マクロ戦略担当チーフ、クリス・クシュリス氏)との声もある。

(Summer Zhen記者、追加取材:Matt Tracy in Washington)

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