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コラム

コラム:中印が軍事衝突、「経済摩擦」が地政学的緊張に拍車も

[ムンバイ 17日 ロイター BREAKINGVIEWS] - インドと中国の係争地域で起きた両軍の衝突は、これまでの両国の経済関係の深化を踏まえると一段と深刻な意味を帯びる。経済関係は本来ならば平和の維持に寄与するはずだが、実際は両国の地政学的な緊張と経済摩擦が互いに負の影響を及ぼす様相となっている。

衝突は両軍のにらみ合いが続いていた山岳地帯のインド北部ラダック地方で起き、双方に死者が出た。係争地で死者を伴う衝突が起きたのは数十年ぶり。中国は周辺地域でのインドによる道路・滑走路建設に反発し、インドは中国軍が実効支配線を越えたと主張していた。緊張緩和への取り組みは頓挫していた。

仮に軍事的問題を和らげることができても、両国の緊張状態は続くだろう。インドによる1990年代の経済開放以来、両国は貿易関係を深めてきたが、不均衡な関係となっている。両国の年間貿易額約900億ドルのうち、約8割はインドによる中国からの輸入が占める。また、中国のアリババグループBABA.Nや騰訊控股(テンセント・ホールディングス)0700.HKなどのIT大手がインドの同業に出資していることから、データ管理を含めてさまざまな懸念が浮上している。

物理的な衝突によって、インドのモディ首相は中国の影響力抑止に向け国民のさらなる支持を得ることになるだろう。インド政府は4月に、中国の企業による直接投資に政府の事前承認を要する規制を導入。ただ、アメリカン・エンタープライズ研究所の常勤フェロー、サダナンド・デューム氏は、中国の規模と製造業の強さを考えると、インドが自国の消費者に打撃を与えることなく規制を強化するのは難しいと指摘する。

事実、中国の小米集団(シャオミ)1810.HKのようなブランドはインドの携帯電話端末市場を主導しており、白物家電でも中国勢は存在感を強めつつある。インド政府はまた、米国が排除に動いている中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)に対し、国内の次世代通信規格「5G」の試験運用への参加を認めた。

一方、インドの企業は中国市場の参入制限について不満を唱えている。インドが中国に対抗し、製造業のハブとしての地位確立を目指し、米国などが中国批判を強める中、中印間の亀裂は広がる可能性もある。全面的な軍事衝突となれば壊滅的な被害をもたらすのは必至で、経済摩擦は状況を激化させる危険性をはらんでいる。

●背景となるニュース

*インド軍は16日、越境を巡り数週間前から中国軍とにらみ合いが続いていた国境付近で衝突が起き、兵士20人が死亡したと発表した。

*中国外務省は、15日に国境地帯で「激しい物理的な衝突」があったと認めたが、死者については明らかにしなかった。インド外務省は双方で死者が出たと発表。国境地帯の衝突で死者が出たのは1967年以来だった。

*国境地帯では5月初旬から両軍の兵士によるにらみ合いが3カ所で続いていた。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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