May 29, 2018 / 5:07 AM / 5 months ago

コラム:中国で重用される戦略投資家、過度な依存は禁物

[香港 28日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国は、「コーナーストーン投資家」と呼ばれる戦略投資家にあまりに重い荷物を背負わせるのを避けるだけの分別はあるだろう。

 5月28日、中国は、「コーナーストーン投資家」と呼ばれる戦略投資家にあまりに重い荷物を背負わせるのを避けるだけの分別はあるだろう。写真は台北で3月撮影(2018年 ロイター/Tyrone Siu)

アリババ・グループ(BABA.N)などのハイテク大手は、中国国内での上場を実現するための手段として、こうした投資家に予め株式を売却することを推奨されるかもしれない。実際、台湾の電子機器受託製造サービス(EMS)大手、鴻海(ホンハイ)精密工業は、上海における新規株式公開(IPO)でこの方法を採用した。

利点は株価の変動を防ぐことだが、同時に市場を歪ませる危険も秘めている。

新規上場に際して要となる投資家を見つけるのは香港では一般的とはいえ、中国本土においては目新しい。1997年のアジア金融危機時に富豪や政府系ファンドが上場を支える役目を果たしたことで、活発に用いられるようになった。

IPOに先立って株式の相当部分をこれらの投資家に売却すれば、発行体と引き受け金融機関にとってリスクが軽減される。さらに買い手側に半年ないしそれ以上の期間、株式の転売を禁止することで既に不安定な株式市場にあってボラティリティを抑え込める。

そうした理由から、海外に上場するハイテク大手を国内市場にも上場させたい中国にとって、コーナーストーン投資家を活用するのはある程度理にかなっている。

これまで個人投資家がIPOで売り出された株の相当部分を引き受けてきたが、彼らは気まぐれに手放しがちだ。そこで大部分をコーナーストーン投資家に割り当て、しばらく保有を義務付けられれば、事態を安定化できる。

鴻海(ホンハイ)精密工業は、子会社の43億ドル規模のIPOでこうした方法を試し、アリババや騰訊控股(テンセント・ホールディングス)(0700.HK)、百度(BIDU.O)など20の投資家に全体の約30%を割り当て、最長3年の売却禁止期間を導入した。

とはいえ、乱用はたやすい。

厳しい市場環境に置かれた中国勢が香港で株式を売り出した際には、国有企業などに引き受けを頼り、最大80%を割り当ててきた。それは専門的な知識を持つ資産運用会社や一般投資家の影響力を低下させ、正常な上場プロセスを損なってしまう。例えば中国郵政貯蓄銀行(PSBC)(1658.HK)が2016年に実施した70億ドル超のIPOは簿価を上回る売り出し価格になったが、同業者株のバリュエーションはずっと低かった。

コーナーストーン投資家の仕組みは、むやみに企業を上場へと駆り立てる可能性もある。

中国服飾(1146.HK)は2011年に一度失敗したIPOを、その後このやり方を採用してやっと成功にこぎ着けた。現在の株価は公開価格の15%にとどまっている。

中国市場は既に企業統治の問題に悩まされ、株式取引は数カ月停止される場合もある。それなのにコーナーストーン投資家に依存し過ぎて市場の歪みを一段と深刻化させてしまうのは間違っている。

●背景となるニュース

・中国は、海外に上場しているアリババ・グループや小米科技(シャオミ)などハイテク大手の国内での重複上場を可能にするため、コーナーストーン投資家の活用を計画している。ロイターが25日、複数の関係者の話として伝えた。

・これらの投資家の支援を受ければ、国内上場によってあまりに多くの資金を吸収し、株価指数を押し下げるのではないかという懸念を和らげる、と関係者の1人は語った。中国政府は、海外上場企業の呼び戻しを推進している。

・コーナーストーン投資家は、新規株式公開(IPO)や追加売り出しの前に株式購入を予約し、予め合意していた割り当て枠を享受する。一方で少なくとも1年間は売却を禁じられることになる。こうした慣行は香港やシンガポール、マレーシアでは一般的だが、中国本土ではほとんど例がない。

・台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の子会社、富士康工業互聨網(フォックスコン・インダストリアル・インターネット)による上海でのIPOで戦略投資家の仕組みが採用された。同社は28日、アリババやテンセント・ホールディングスなどを含む20の戦略投資家に、売り出し株の約30%を割り当てたと発表した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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