February 12, 2019 / 9:27 AM / 7 days ago

焦点:世界経済占う春節明けの中国、「炭鉱のカナリア」鳴き止むか

[東京 12日 ロイター] - 春節明けの中国経済に対し、いつも以上に市場の視線が集まっている。昨年後半からの減速傾向に歯止めが掛かるかが、今後の世界経済を左右するためだ。

 2月12日、春節明けの中国経済に対し、いつも以上に市場の視線が集まっている。昨年後半からの減速傾向に歯止めが掛かるかが、今後の世界経済を左右するためだ。上海で2015年1月撮影(2019年 ロイター/Aly Song)

「炭鉱のカナリア」と呼ばれるオーストラリアの国債先物は、中国が休みの間も上昇し、警戒感を示し続けてきた。「新年」を迎えトレンドに変化はあるのか注目されている。

<中国の代替市場>

オーストラリア国債先物市場が「(危険が迫っていることを示す)炭鉱のカナリア」と呼ばれるのは、同国が中国と資源の輸出入を通じて経済的に強く結びついている(豪輸出の3割以上、輸入の2割以上を中国が占める)ためだ。同市場は流動性が高く、中国市場の代替取引(プロキシ・トレード)として利用されている。

中国経済が良くなるとみられれば豪債先物は売られやすくなり、悪くなるとみらられば買われやすくなる。過去を見ると、必ずしも危機に先行して動いているわけではないが、2016年序盤に「中国ショック」が起きた際には、1カ月以上早い15年の11月に底に打って、上昇トレンドに転じている。

豪州10年国債先物YTCc1は、16年10月以来の高値レベルで推移。中国が春節休暇中に入っている間も上昇しており、マーケットが豪州・中国の景気に対し警戒感を崩していない(カナリアは鳴き続けている)ことを示していた。ただ、春節明けの中国株の上昇を嫌気し、12日は5日ぶりに反落している。

「投機筋のロングポジションは積み上がっているようにみえるが、豪中銀総裁の姿勢転換と景気不透明感を背景に債券買いが続いている。バルチック指数.BADIが弱含み続けていることも景気への不安感を強めている」と野村証券クロスアセット・ストラテジストの高田将成氏は話す。

ばら積み船運賃の国際指標であるバルチック指数は、中国の春節明けに反転上昇するケースが多いが、今回はまだ低下が止まっていない。下落スピードは鈍ってきたものの、11日時点で変わらずを挟んで16営業日連続で低下中だ。これも2年半ぶりの低水準となっている。

<FRBハト派回帰でも、ドル高の理由>

ドルインデックス.DXYも、中国経済に対するマーケットの警戒感を示す指数の1つだ。米連邦準備理事会(FRB)が事実上の利上げ停止宣言をし、米金利は低下気味であるにもかかわらず、足元で約1カ月ぶりの高水準を付けている。

米金融引き締めへの警戒感が薄れ、緩やかながら株高が進んでいることでリスクオンムードが回復している面もあるが「最近は、景気減速懸念を背景としたユーロ安の影響が大きい」(国内銀行)という。

ユーロ圏経済は輸出依存度が高く、特に新興国向けが高い。なかでも中国向けが拡大しており、17年は前年比15%超と大きく伸びた。欧州委員会は2月7日、ユーロ圏の今年と来年の成長率見通しを引き下げたが、世界的な貿易摩擦と中国の景気減速がEU経済の主な重しになるとの見解を示している。

ユーロ安は欧州の輸出産業にとってプラスだ。しかし、ユーロ安の原因が景気減速懸念とあっては、期待感は高まらない。またドル高が進めば、新興国経済にとってはマイナスに働く。ドル高の半面で新興国通貨が下落すれば、輸入インフレへの懸念から金融緩和は行いにくくなるためだ。

<春節明け、労働者は戻るか>

中国製造業PMIは、昨年12月に続き1月も節目の50割れ。財新/マークイットでは、約3年ぶりの低水準となった。新規受注がさらに減少したほか生産も落ち込んだ。景気回復を裏付けるデータは、いまだ乏しい。

今年は春節前の工場閉鎖が目立っていた[nL3N1ZI1LT]。東海東京調査センターの投資戦略部ストラテジスト、王申申氏は「春節休暇で実家に帰った労働者が、どの程度戻ってくるのか。今後の中国経済を占ううえで注目される」と話す。リーマン・ショックの際には、多くが戻らなかった「実例」があるためだという。

中国商務省によると、春節における小売業と外食産業の売上高は前年比8.5%増と8年ぶりの低い伸びになった。春節休暇明けの上海総合指数.SSECは上昇し、マーケットには安心感も広がっているが、米中貿易交渉への期待感を除けば、ファンダメンタルズ的な裏付けは希薄だ。

ただ、AIS CAPITALの代表パートナー、肖敏捷氏は、この「春節における小売業と外食産業の売上高」の統計発表が、あまりにも早いことが気になるという。

「景気刺激策の実施に向けた世論作りの一環ではないか。習近平政権はこれまで過剰債務や過剰生産能力などの後遺症を残した4兆元景気刺激策を新たに求める声に断固として応じてこなかったが、3月の全人代に向けて実施される可能性が高まってきた」と指摘。中国景気の底打ちがそう遠くないとみている。

(編集:田巻一彦)

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