July 5, 2018 / 8:10 AM / 3 months ago

コラム:動揺する中国市場、介入で「負のスパイラル」突入も

[香港 4日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国は人民元が3月末以降に対ドルで6%下落したが、世界中の懸念はこの点にほぼ集中しており、株式相場の下落と債券の不履行(デフォルト)増加への懸念は薄い。

 7月4日、中国は人民元が3月末以降に対ドルで6%下落したが、世界中の懸念はこの点にほぼ集中しており、株式相場の下落と債券の不履行(デフォルト)増加への懸念は薄い。北京で2016年撮影(2018年 ロイター/Jason Lee)

しかし習近平国家主席は忍耐という美徳を備えておらず、恐怖に駆られた当局が常軌を逸した市場介入に動き、「不安が不安を呼ぶ」負のスパイラルに陥る恐れがある。

中国の当局者の脳裏に浮かぶのは3年前の夏だろう。2015年6月に主要株価指数のCSI300は下げ始め、下落率は50%近くに達した。投資家が高水準に達していた借り入れを巻き戻したためで、株式市場では約5兆ドルの時価総額が吹き飛んだ。

中国人民銀行(中央銀行)はその2カ月後に人民元の公定レートをわずか数日で4.5%切り下げて市場に衝撃を与えた。中国は資本流出が急増して外貨準備が1兆ドル減少し、成長てこ入れに支障が生じた。

今回の株式相場の下落は年初来で15%程度で、株の持ち主は痛みを被り、当局が株式による資金調達計画の承認を遅らせれば調達を計画している企業はがっかりするだろう。ただ、経済的なリスクはほとんどない。中国の株価は消費や設備投資にほとんど影響しないためだ。

借り入れも抑えられている。ロイター・アイコンのデータによると、株式投資家の証拠金借り入れはネットベースで約1360億ドルで、2015年のピーク時の半分以下にとどまっている。

 7月4日、中国は人民元が3月末以降に対ドルで6%下落したが、世界中の懸念はこの点にほぼ集中しており、株式相場の下落と債券の不履行(デフォルト)増加への懸念は薄い。2014年2月、北京で撮影(2018年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

人民元については、通商紛争目的で安値誘導されたと懸念する声も聞かれる。しかしこの説はつじつまが合わない。新興国市場の通貨はいずれも下落している。国際決済銀行(BIS)のデータによると人民元は他の新興国通貨に比べて高すぎていたため、今回の相場下落で他の新興国通貨と足並みがそろった。人民銀の外貨準備は3兆1000億ドルに回復しており、急激な人民元安を食い止めるのに十分な水準だ。

しかし金融市場が落ち着きを取り戻す一方で、米中間の政治的な緊張は高まっており、金融リスクを抑える取り組みのために成長は鈍化している。2015年に中国当局は公的資金を使って株式市場を支え、デリバティブ市場を閉鎖し、「悪意のある空売り筋」の身柄を拘束した。当局が今回もこうした無様な対応策に走れば、負債圧縮の努力は水泡に帰す。当然のことならが外国投資家も脅えて近づかなくなるだろう。

●背景となるニュース

・人民元は3月末以降、対ドルで3%程度下落し、年初の上昇分をすべて失った。米連邦準備理事会(FRB)が6月14日に利上げを決める一方で中国人民銀行(中央銀行)が金利を据え置くと、人民元安のペースに拍車が掛かった。

・上海と深センの株式市場に上場する有力企業300銘柄で構成するCSI300指数.CSI300の年初来の下落率は15%超。新興国株式市場の年初来の下げとしてはトルコの現地通貨建て株価指数に次いで2番目に悪い。

・国内債券市場に緊張の兆しが表れたことから、中国人民銀行は6月24日、市中銀行の預金準備率を7月5日に引き下げ、1080億ドルの流動性を市場に供給すると発表した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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