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アングル:中国債が急落、不意突かれた投資家の解約殺到

[上海 17日 ロイター] - 中国政府が最近、景気の浮揚に向けた対策を打ち出したことで中国の債券価格が急落し、損失を被った投資家がこぞって債券商品を解約している。

 中国政府が最近、景気の浮揚に向けた対策を打ち出したことで中国の債券価格が急落し、損失を被った投資家がこぞって債券商品を解約している。写真は上海で2011年1月撮影(2022年 ロイター/Carlos Barria)

資産運用会社は相場が回復して損失を取り戻せる可能性もあるとしているが、一部の投資家は既に資金を引き揚げた。債券の強気相場は終わったとみるアナリストもいる。

投資家は今年初め、中国の景気見通しが悪化して株価が落ち込んだのを見て、安全とされる債券商品に殺到した。しかし今月、政府が新型コロナウイルスを封じ込める「ゼロコロナ政策」を一部緩和するとともに不動産セクターの支援策を発表すると、債券価格は急落した。

中国国債の指標銘柄は、利回りが4カ月ぶりの高水準に上昇。5年物の利回りは10月末に付けた低水準から30ベーシスポイント(bp)余り上昇して2.721%、10年物は20bp余り上昇して2.865%となった。

債券価格を示す指数は今月に入って1.5%下落し、過去数カ月間の上昇分が帳消しになった。

上海に住む投資家のワン・マオユアンさんは、3カ月前に買った1年物の債券ファンドが損失を出していることが理解できないと話す。「この商品は少なくとも元本を保証できると思って買った」という。

満期まで保有していれば投資家は損失を被らないが、最近の規則変更により純資産価値のリアルタイム開示が義務付けられ、相場の変動を見慣れていない投資家にショックをもたらしている。

<強気相場は終わりか>

金融機関は投資家に対し、心配しないよう呼びかけている。

中国銀行の資産運用部門は投資家への公開書簡で「市場は上がったり下がったりするものだ。投資家には信頼感と穏やかな心が必要だ」とし、相場変動を「合理的かつ長期的な視点で」見守るよう促した。

しかし納得しない投資家もいる。

退職者のシェン・ジアンさんは40万元(6万ドル)を債券商品から3カ月物の預金に移した。最近の運用成績が「耐えられなかった」からだ。

債券価格の急落を受け、中国当局は一部の金融機関に流動性状況と、理財商品(資産運用商品)の解約にどう対応しているかを報告するよう求めた。消息筋3人がロイターに明らかにした。

UBSセキュリティーズの中国金利ストラテジスト、メアリー・シア氏は、債券価格の落ち込みは「将来の景気回復に対して市場が楽観を強めたこと」と、中央銀行が緩和姿勢をやや後退させるとの予想が主な原因だと指摘。「経済指標の回復にはまだ少し時間を要するかもしれない。目先は指標が悪化し、リスク志向の高まりによる債券市場への足かせが、ある程度相殺される可能性もある」との見方を示した。

一方、CIBリサーチのアナリスト、シュー・ハンフェイ氏は投資家向けノートで、中国債券市場はこれまで「泡立ち」、「投資が集中し過ぎて」いたと指摘。ゼロコロナ政策が転換点を迎え、リスク志向が回復するのに伴い、債券相場は年内いっぱい低迷する可能性があるとした。

シュー氏は、中国債券の強気市場は終わりを迎え、10年物国債利回りが1年ぶり高値の3%前後まで上昇すると予想している。

(Jason Xue記者、Samuel Shen記者、Brenda Goh記者)

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