[ロンドン 7日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 自由な市場には不都合な面もあるという教訓を、中国が素早く学び取ったことが明らかになりつつある。株式市場の乱高下を和らげるための緊急措置であるサーキットブレーカーは、今回中国では平静さよりも不安をもたらす結果となり、登場早々にお役御免となりそうだ。
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サーキットブレーカーは昨年の株式市場の激しい動揺を踏まえて年頭に導入された。株価が上下5%変動した場合は15分、その後7%変動すれば終日、取引が停止する仕組みだ。しかし上海・深セン両証券取引所はサーキットブレーカー自体を8日から停止すると発表した。
こうした事態に驚きはない。今週2回発動されたサーキットブレーカーは、水面下に一体どれだけの売りが残っているのかと市場参加者の疑心暗鬼をいたずらにかき立てただけに終わった。昨年の株価急落はぞっとするような出来事で、世界の資産運用担当者はまた同じような値下がりに見舞われるのではないかと動揺した。欧州株で構成されるFTSEユーロファースト300指数は7日に2%強下落し、S&P総合500種も大幅安となった。ただ重要な教訓は、状況がどれだけひどいのかが闇に包まれているよりも、最悪事態を知る方がましということだ。
一般的にサーキットブレーカーはパニックを防止する有益な役割を果たす。しかし中国の場合、投資家の売りの機会をなくして、逆効果を及ぼすと判明した。それでも心強いのは、当局が間違いを素早く認めて軌道修正した点だ。こうした軌道修正能力は、中国が世界の金融市場に組み込まれて影響力を次第に強めていく中で、先行きを明るくしている。
●背景となるニュース
*上海・深セン両証券取引所は7日、サーキットブレーカーを8日から停止するとウェブサイトで発表した。
*7日の中国株式市場は急落し、寄り付きから1時間半足らずで今年2回目のサーキットブレーカーが発動された。
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
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