November 13, 2018 / 2:35 AM / a month ago

焦点:中国の企業向け株式担保融資、金融機関の「頭痛の種」に

[上海 9日 ロイター] - 中国では多くの証券会社や銀行にとって、企業の株式を担保として実行した多額の融資が大きな頭痛の種となりつつある。融資先企業の株価が急落したためだ。

 11月9日、中国では多くの証券会社や銀行にとって、企業の株式を担保として実行した多額の融資が大きな頭痛の種となりつつある。融資先企業の株価が急落したためだ。写真は2015年、上海の陸家嘴エリアにある株価ボードの下を歩く人々(2018年 ロイター/Aly Song)

重慶を拠点とする西証国際証券(600369.SS)の場合、先月発表した7─9月期利益の実に8割を、こうした融資で発生しそうな損失に備える引当金として計上せざるを得なくなった。

企業の大株主が株を担保に差し入れて証券会社や銀行から借り入れを行う動きは、当局が影の銀行(シャドーバンキング)の締め付けを強める中で、昨年活発化した。しかし株価の急落で担保価値も大幅に目減りし、貸し手は苦境に置かれてしまった。

現在は中国上場株の1割、およそ6200億ドル相当が担保として差し入れられており、その大半は景気減速や米中貿易摩擦で痛手を一番に受けている中小企業だ。

主要株価指数が年初来で20%下がった事態を受け、当局はさらなる値下がりを防ぐため、証券会社に担保として保有する株式を売ることを禁じ、上場企業は自社株の売買停止をしてはいけないと命じられた。また地方政府や証券会社、保険会社、資産運用会社などが上場企業に資本を注入するよう当局が働き掛けている。それでも貸し手側の出血は止まらない恐れがある。

ウォーター・ウィズダム・アセット・マネジメントのパートナー兼ポートフォリオマネジャー、ユアン・ユウェイ氏は、こうした政府の圧力はリスクを高める弊害しかもたらさないと懸念。「鎮火を望むなら、火のついた小屋(問題企業)を残りの小屋(正常企業)と切り離すべきだ」と語り、今のままでは金融システム全体にリスクが広がって大問題になりかねないと警告した。

今年1─9月に上場証券32社が計上した引当金は総額10億ドル超で、前年の2倍だった。株式担保融資のデフォルト(債務不履行)増加で、7─9月期の上場証券の利益は50%減っている。

<追加差し入れ>

自社株急落で危機に見舞われた一例が、自動車販売を手掛ける龐大汽貿集団(パン・ダー・オートモービル・トレード)(601258.SS)だ。

かつて「自動車ディーラーの王」と称された同社だが、株価が40%下がったことから貸し手から追加の担保差し入れを迫られ、創業者で筆頭株主のPang Qinghua氏は、20%という全持ち分を差し出すしかなくなった。同氏の借り入れ先は、民生銀行(600016.SS)や交通銀行(601328.SS)などだ。

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いくつかのブランドの販売権の売却も進めている同社のある重役は、規制当局が最近、貸し手に融資の返済を催促しないよう求めたと話した。これは民間企業が一時的な資金難に陥っている局面で、より大きなリスクを背負うよう金融機関に要請している政府の方針と一致する。

ただ上海のコンサルティング会社オートモーティブ・フォーサイトを率いるイェール・ツァン氏は、龐大汽貿集団の問題について「ずっと尾を引くように見受けられる」と指摘し、国内自動車市場の減速や景気鈍化を理由に挙げた。

<買い支え>

株式担保融資の7割を実行したとみられる銀行は、具体的な引当金額を明らかにしていないが、全融資に占める株式担保融資の割合は証券会社に比べればずっと小さい。

これに対して西証国際証券は、保有担保株式の価値が2億4200万元(3490万ドル)も減少し、最大手の中信証券は1─9月に12億元の貸倒引当金を計上した。

一方、共産党指導部の意向をくんで、証券会社や保険会社、地方政府は過去数週間で総額50000億元超を投入し、追加担保差し入れを迫られている企業の株式を購入して融資に付随するリスクを軽減する「救済ファンド」を立ち上げることを約束した。

とはいえ投資家は、政府の後押しによる買い支えに不安を募らせている。BOCOMインターナショナルのチーフ・ストラテジスト、ホン・ハオ氏は「リスクが先送りされているだけで、消えているわけではない。担保割れの株は依然として証券会社のバランスシートに存在するからだ」と話した。

今月に入って株式市場は落ち着いてきたが、ヘッジファンド幹部のYang Xiaofan氏は危機終息を宣言するのは早過ぎると強調する。

同氏は「担保株の『死のスパイラル』は長い時間を伴うプロセスであり、上場企業の主要株主のキャッシュフローを圧迫し続けるだろう」と述べ、株式担保融資に過度に依存し、担保価値減少で手元資金難に見舞われている多くの中小企業は既に貸し手にとって不良資産化していると付け加えた。

中堅不動産開発会社、中弘控股(000979.SZ)は自社株の2割を融資の担保に差し入れていたが、株価の額面割れが20営業日余り続いたため、深セン証券取引所が上場廃止を発表。これに伴って同社株の価値はほぼゼロとなり、貸し手は同社向け融資を損失として償却する必要が出てくる。

CLSAは、さらに60─100の銘柄が上場廃止の危機にあると見積もっている。

(Samuel Shen、John Ruwitch記者)

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