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コラム

コラム:西側のロシア産原油禁輸、中国は漁夫の利か

 ロシアのウクライナ侵攻で世界のエネルギー市場が揺れる中、中国は漁夫の利を得られそうだ。写真は中国・新疆ウイグル自治区バインゴルにある中国石油天然ガス集団(CNPC)の油田。2019年8月撮影。提供写真(2022年 ロイター)

[ロンドン 19日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ロシアのウクライナ侵攻で世界のエネルギー市場が揺れる中、中国は漁夫の利を得られそうだ。西側のボイコットによって安くなったロシア産原油は今アジアに向かっているが、世界最大の原油輸入国である中国の購入増加は今のところ、インドに比べれば控えめだ。一方、欧州連合(EU)はまだロシア産原油の禁輸に至っておらず、イタリアなどの国は買い漁っている。これらの状況を総合すると、中国は割安になったロシア産原油の購入をさらに増やす可能性が高い。

米政府は、半導体大手の中芯国際集成電路製造(SMIC)などの中国企業が対ロシア輸出規制に違反すれば、これら企業を「閉鎖」すると警告している。ロシアに共感を示してウクライナ侵攻を侵略と呼ぶのを避ける中国は、微妙な立ち回りを迫られる。この綱渡りを一層危うくしているのが、石油を巡る問題だ。中国にとってロシアはサウジアラビアに次いで2番目に大きい石油供給源だからだ。

今のところ、値下がりしたロシア産石油をインドが驚くほど積極的に買い漁っているため、中国は注目を免れている。

やはりエネルギー資源の乏しいインドは、ロシアのウクライナ侵攻以来、記録的なスピードでロシアの代表的な油種ウラル原油を買い進めた。S&Pグローバル傘下のコモディティーズ・アット・シーによると、4月のインド向け出荷量は日量67万4000バレルと、前月から倍増。これに対し、中国向けは10%増にとどまり、日量78万1000バレルだった。

EUは半年以内にロシア産原油の輸入を禁止する方針だが、一部加盟国は輸入停止を渋っている。S&Pのデータによると、ドイツの需要は急減したものの、例えばイタリアの輸入は4月に40%も増えた。

これは中国にとって、ある程度「隠れみの」になる。ブルームバーグによると、ロシア産原油は輸送費や保険費用を勘案したベースで、北海ブレント油よりも1バレル=8ドル割り引きされている。ロイターの報道では、中国の原油輸入の約4分の1を扱う山東港国際物流集団には今月、珍しくロシアからの原油が到着する予定だ。

中国はさらにロシア産原油の購入を増やすはずだ。EUなどの先進諸国に輸出されていた日量約65万バレルのロシア産原油は、中東産原油で代替される可能性があるとコンサルタント会社のウッド・マッケンジーは予想している。中東産原油は現在、主に中国とインドに向けて出荷されている。目先の利益のために長期契約を破るのは、通常であればビジネス的に失敗だが、エネルギー価格が高騰しているためサウジは輸出先を欧州に変えても損失を被らないだろう。こうした中、約2カ月に及ぶ新型コロナウイルス対応のロックダウンを経て需要が回復する中国は、割安なロシア産原油に抗い難いはずだ。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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