[シンガポール 16日 ロイター] - ロイターのデータやアナリストによると、米国産原油の3月の対中輸出は約2年半ぶりの高水準となる見通しだ。
需要の回復に加え、中東産原油に比べ割安感が出ていることが背景で、高水準の輸出は第2・四半期から第3・四半期にかけても続くとみられている。
米WTI原油は今週1バレル=70ドルを割り込んだ。中東産ドバイ原油に対するディスカウント幅は1バレル当たり約10ドルと、昨年8月以来の水準に達している。
アナリストによると、中国の原油輸入量は2023年に過去最高を更新する見通し。ゼロコロナ政策の解除に伴う旅行者の増加や、新たな製油所の稼働によって需要が強まるためだ。
データ分析会社ケイロスのアナリストは「中国は事実上のスイングプロデューサー(生産調整役)として台頭している。供給過剰時には余剰生産分を大量に吸収する力があり、市場が引き締まれば国内在庫を取り崩す」と指摘した。
リフィニティブ、ボルテクサ、ケプラーの海運データによると、3月に米国で中国向けに船積みされる原油は少なくとも1400万バレルと、2020年10月以降で最大となる見通し。一部は4月にずれ込む可能性もある。
ケプラーの米州石油担当リードアナリストは「中国は価格下落を受けて米国産原油に対する関心をさらに強める可能性が高い。特に中国では第2・四半期後半に製油所のメンテナンス期間が終わり、需要が拡大する」と述べた。
中東―中国航路の大型原油タンカー(VLCC)運賃は今週、下落が始まったが、米国─中国航路は引き続き上昇しており、米国産原油の買い意欲が強いことを示唆している。
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