January 29, 2018 / 6:13 AM / 4 months ago

焦点:中国の一帯一路、積極的な貧困国開発が生む懸念

Paritosh Bansal

 1月26日、中国が推し進める発展途上国向け開発は、人権や環境を擁護する非営利団体(NGO)の役割を低下し、彼らが伝統的に果たしてきた乱開発に対するチェック機能を困難にさせていると、NGO関係者は警鐘を鳴らす。写真は、中国の一帯一路プロジェクトで新たにケニアで敷設された鉄道。2016年3月撮影(2018年 ロイター/Goran Tomasevic)

[ダボス(スイス) 26日 ロイター] - 中国が推し進める発展途上国向け開発は、人権や環境を擁護する非営利団体(NGO)の役割を低下し、彼らが伝統的に果たしてきた乱開発に対するチェック機能を困難にさせていると、NGO関係者は警鐘を鳴らす。

中国は、米国が第2次世界大戦後に推進したマーシャルプラン以降で最大級となる海外開発計画に着手。約1000億ドル(約10.8兆円)を超えるシルクロード経済圏構想「一帯一路」を掲げ、アジアや欧州、アフリカをつなぐ道路や鉄道、港などを建設するインフラ投資を進めている。

だが、開発金融に社会的・環境的な条件をつけることで、NGOの影響力を高めることの多い西側の貸し手とは異なり、中国側の貸し手は不干渉のアプローチを取っている、と世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で取材したNGO幹部などは語る。

「中国による開発は、注視が必要な状況であることは確かだ」と、グリーンピース・インターナショナルのジェニファー・モーガン事務局長は言う。「世界各地で融資や資金供給をする際の、彼らの基準は何なのか」

また、ヒューマン・ライツ・ウォッチのケネス・ロス代表は、中国のアプローチついて非道徳的だと述べ、支援や投資に「人権の尊重が条件づけられて」いたときに各国が感じていた経済的プレッシャーを消し去ってしまったと語る。

中国が支援する金融機関は、世界銀行や他の西側諸国が支援する開発機関とは異なるアプローチを取っている。

例を挙げると、世界銀行は環境上の理由から、石炭火力発電所の新設には強いバイアスをかけるが、「一帯一路」計画に資金供給する中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)はそれほど厳しくない。

ヨアヒム・フォン・アムスバーグAIIB副総裁はダボスでロイターに対し、再生可能エネルギーへの移行を奨励しているが、『石炭はダメ』というサインを前面に押し出したくはないと語った。

「われわれはプロジェクト1つ1つを、加盟国に大幅な政策変更を促す手段として見ていない」と同副総裁は説明。「それは開発金融の世界にとって歓迎すべきことだ。なぜなら、それによって行き過ぎや、個々の投資プロジェクトに集中し過ぎるリスクを回避できると思うからだ」

世界銀行のような機関による融資は長い間、富裕国が借り手に対し、社会的大義の履行を改善するよう圧力をかける方法として用いられてきた。その一環として、非営利団体は監視役を担い、ダム開発のような問題について方針変更に一役買い、人権を主張してきた。

しかし、ポピュリズムが台頭し、トランプ大統領率いる米国が、気候変動と同様に、人権などの問題でも鳴りを潜めるか、あるいは政策を転換させており、逆風が強まってきたと、NGO関係者は口をそろえる。

「さまざまな国で、市民活動の余地が減り、政府に以前ほど声が届かなくなっていることを心配しているかって。全くその通りだ」と、前出のモーガン氏は語った。

<条件なし>

2016年にAIIBに移るまでの約25年間、世界銀行に在籍していたフォン・アムスバーグ氏は、84カ国が加盟するAIIBが、環境、社会、政府の規範において高い基準を保っていると述べ、市民社会を弱体化させているという懸念を否定した。

「中国政府は企業に対し、現地の法と支配に従う法的枠組みの中で活動し、社会への責任を積極的に果たすよう常に求めている」と、中国外務省の華春瑩報道官は、ロイターの質問に対して記者会見で語った。

一部の国は条件を伴わない支援を歓迎している。例えば、バングラデシュは、2016年後半に中国の習近平国家主席が同国を訪れた際、さまざまなプロジェクトにおいて何十億ドル規模の融資を受けることに合意した。

「誰もが世界銀行より中国による投資を好むだろう」と、バングラデシュ首相の経済顧問を務めるMoshiur Rahman氏は今月、首都ダッカで行われたロイターとのインタビューでこう語った。「西側の投資家と違って、彼らは何人投獄したかなど気に留めない」

<共通点>

一部のNGOは、自分たちが従事できる分野を見つけるため、共通点を見いだそうとしている。

ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団は10年以上、中国と協力してプロジェクトに携わっており、農業などの分野において中国の知識を他のアジア地域やアフリカで活用していると、同財団のマーク・スズマン最高戦略責任者(CSO)は語った。

スズマン氏によると、同財団は、東南アジアにおける一帯一路プロジェクトの中で、メコン川デルタ地帯のマラリア予防に取り組めないか協議しているという。中国にマラリアの専門知識があるからだ。

「そこにはウィンウィンの関係になれる可能性があると、かなり前向きにわれわれは感じている」とスズマン氏は述べた。

中国政府は先月、人権に対する自国のアプローチについての論文を国連で配布。その中で、いかに同国が「国内の統治哲学を国際的合意に」合ったものに変えているかを説明した。

「平和と治安は最も重要な人権である」と、李保東外務次官は強調する。その上で、「開発は何よりも重要だ」と述べた。

「われわれは、人権問題において発言力を高めるため新たな前進を始めた」と同外務次官は記している。

(翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

 1月26日、中国が推し進める発展途上国向け開発は、人権や環境を擁護する非営利団体(NGO)の役割を低下し、彼らが伝統的に果たしてきた乱開発に対するチェック機能を困難にさせていると、NGO関係者は警鐘を鳴らす。写真は一帯一路フォーラムで演説する中国の習近平国家主席。北京で昨年5月代表撮影(2018年 ロイター)

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