January 6, 2018 / 11:47 PM / 6 months ago

焦点:犬は投資家にも「最良の友」、中国ペット産業が急成長

[平陽(中国)/上海 24日 ロイター] - Li Mingjieさんは、ペット業界に投資する投資家にとっては夢のような存在である。電子商取引産業で働く23歳のLiさんは、飼い犬を幸せにするためにはカネに糸目を付けない。

 12月24日、最近の中国は単に「ペット社会」というだけでなく、「ペットに浪費する社会」に移行しつつある。写真は22日、北京にあるペット向けリゾート施設のプール(2018年 ロイター/Jason Lee)

「喜んで犬に大金を使う」と、中国東部の浙江省温州市平陽で、茶色のプードル「ココ」を散歩させながら、Liさんはロイターに語った。「彼女は私にとって子どもみたいなものだ」

最近の中国では、Liさんのようにペットの犬に大金を使う人が急増している。

中間層や都市部への移住者の増加、そして高年齢化や晩婚化といった他の人口動態の変化により、単に「ペット社会」というだけでなく、「ペットに浪費する社会」に移行しつつあることを示している。

中国のペット市場が年間約20%拡大するなか、調査会社ユーロモニターの試算によると、同国のペットオーナーは2022年までに年間463億元(約8000億円)を消費する見通しだ。2017年の消費額175億元から2.5倍以上増える。米国市場での年間売り上げは推定444億ドル(約5兆円)とはるかに大きいかもしれないが、年間成長率で見れば約2%にすぎない。

中国での需要急増は、米マースやスイスのネスレ(NESN.S)といった世界的なペットフード大手ばかりか、急成長している中国のペットフードやペット製品を扱う企業、さらにはお手入れを手掛けるドッグサロンから豪華なペットホテルに至るあらゆるサービスの起業家にとって、これは素晴らしいニュースだろう。

ペットを飼うことは、かつてはあまりにブルジョア的すぎるとして、革命指導者だった故・毛沢東主席の下で禁止されていた。また、南部玉林市では、抗議の声が上がっているにもかかわらず、犬肉を食べる祭りがいまだに毎年行われている。このような国において、これは驚くべき変化と言える。

「中国市場には非常に大きな成長の余地がある」と、中国企業の新希望集団の劉永好会長は、北京で最近行われたイベントでこのように述べ、特に若い人ほどペットとの絆が深いと指摘。

「家族の一員のようになっているため、ペットに多くのカネを使うことを惜しまない」と劉氏は語った。

新希望集団は、シンガポール政府の投資機関テマセクとプライベートエクイティー(PE)企業の厚生投資を含むコンソーシアムに参加し、オーストラリアのペットフード・メーカー、リアル・ペット・フードを10億ドルで買収することに合意。同社が販売するブランド製品の中国販売を目指している。

ペットの人気上昇により、中国は地元企業のみならずグローバル企業も引き寄せている。

香港に拠点を置くファンドマネジャー、ハーベスト・グローバルのトーマス・クワン最高投資責任者(CIO)は、消費者の関心が高価なプレミアム製品にシフトしているため、中国のペット市場は同氏が2018年に選定する投資先の1つだと話す。

ペットオーナーが重視しているのは「ペットに健康に良いフードが買えるか。質の高いライフスタイルを与えられるか」ということだと、クワン氏は述べた。

<骨型のセンター>

Liさんがプードルと暮らす平陽は、中国のペット市場において大きな野望を抱いている。

裕福な港湾都市である温州に近く、100万人近くの人口を抱える平陽は、クラウドコンピューティングからチョコレート製造に至る産業を手掛ける「特区」を2020年までに1000カ所設立するという中央政府の呼びかけに応じている都市の1つだ。

平陽の場合、そのテーマはペットだ。

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平陽には犬の骨型をしたビジターセンターやペット製品の工場があり、ペット向けホテルや小売り店が集まるモールも建設される予定だと地元の人たちは語る。

しかし最近、平陽を訪れたところ、そのようなコンセプトの実現は、まだまだ先の話だということが判明した。ビジターセンターは閉鎖されており、「ペットタウン」はまだ完全に完成していないことを地元の人たちは認めた。

とはいえ、全国的には、ペット経済は人口動態の変化にも後押しされ、繁栄していることは間違いない。

「中国社会は高齢化が進み、出生率が低下している。子どもが成長して家を出た後に残された親、そして自立した生活を送る若者がいる」と、厚生投資の共同創設者Zhang Tianli氏は指摘する。ペットは人々が「精神的な支え」を見つけるのに役立っていると付け加えた。

ペット製品のブームは輸入をかき立て、中国経済を押し上げている。

少なくとも中国で、グローバルな大手企業に挑んでいる国内企業には、上海ブリッジ・ペットケアやサンサン・グループ、Navarchなどが含まれる。ペットフードメーカーの煙台中寵食品(002891.SZ)は8月に深セン証券取引所に上場して以降、株価が60%近く上昇した。

小規模な新ビジネスも盛んだ。DogWhere.com(狗狗去哪児)はペット向けの休暇を提供しており、北京でペットホテルを経営している。同ホテルにはペットのためのあらゆるアメニティーがそろっており、スイミングプールやペットのサイズに合わせたベッドルーム、映画館などが完備されている。1泊数千ドルの費用を飼い主たちは支払う。

「私たちのホテルに犬1匹が47日間滞在したことがあるが、その費用は合計で1万7000元(約30万円)だった」と、同サイトのマーケティングマネジャー、Wang Chaoさんは言う。

北京でウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア(ウエスティー)専門の人気グルーミング店を営むXiao Xudongさんは、遠く離れた最西部の新疆や南西部の雲南省から飛行機でやって来る若い常連たちが増えていると話す。

「消費において、若い人たちは年配の世代とは異なる価値観をもっている」と、45歳のXiaoさんは言う。「彼らはペットの手入れにこだわり、大金を使うことを惜しまない」

<ペットのお風呂>

増えているとはいえ、中国でペットを飼うことはまだ新しいトレンドだ。一部のペットは虐待され、ワクチン接種や避妊・去勢についての知識も欠如している。ペットフードの輸入に関する厳格な規制がグレーマーケットでの取引を活発化させてもいる。

国営の新華社通信が12月に伝えたところによると、犬を殺すための毒矢を売っていたギャングのメンバーが逮捕された。殺された犬の肉は飲食店に売られていたとされ、犬肉を食べる習慣の是非を巡る議論が再燃している。

国の認可を受けた平陽のペットタウンでは、それでもなお、ペット飼育に向けて社会がシフトしているのは明白だと、あるペットショップのオーナーは話す。

「10年前、ここは基本的に農地で、人々は犬を食べていた。今ではそれほど犬を食べることはないし、ペットとして犬を見るようになっている」と彼は話す。

このペットショップで、Wang Jingさん(26)は飼っている犬2匹、キャンキャンとニウニウを定期的にお風呂に入れている。Wangさんは1カ月あたり約2000元(約3万5000円)を犬に使っている。その大半は食費だ。だが、その価値は十分にあると彼女は言う。

「(犬たちがいなければ)帰宅しても誰もいない」とWangさん。「でも犬を飼っていれば、ドアを開けると喜んで飛びついてきてくれる」

(翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

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