August 20, 2019 / 2:36 AM / a month ago

アングル:中国の新金利改革、市場実勢反映する仕組みとは

[上海/北京 19日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)は17日、企業の借り入れコスト押し下げと景気支援につながる金利改革を発表した。銀行の最優遇貸出金利であるローンプライムレート(LPR)の算出方法を改善し、当局が定める貸出基準金利に代わる指標とする。

8月19日、中国人民銀行(中央銀行)は企業の借り入れコスト押し下げと景気支援につながる金利改革を発表した。北京の人民銀行前で2018年9月撮影(2019年 ロイター/Jason Lee)

<LPRとは>

人民銀は2013年10月からLPRを公表してきた。貸出基準金利よりも市場の資金需要をよりよく反映した金利として銀行に参考にしてもらう狙いがあった。

ただ、公表開始からこれまでのLPRの動きはおおむね、市場の実勢を反映しておらず、銀行間市場であまり注目されてこなかった。1年物LPRは現在4.31%で、期間1年の貸出基準金利の4.35%をやや下回る水準だ。

新たなLPRは人民銀が金融市場調節(オペ)手段である中期貸出ファシリティー(MLF)で短期資金を市中銀行に融通する際の金利を参考にして算出される。これにより企業の調達金利に市場の実勢が反映されることになり、金融政策の円滑な効果波及が図れる。

<LPRの公表方法>

新LPRは今月から、毎月20日午前9時半に公表する。これまでは大手10行からの報告に基づき算出していたが、新たに外資系銀行2行も含めた8行が加わる。

銀行は人民銀のオペで資金調達した際の金利に基づき、LPRを算出して全国銀行間資金調達センターに毎月20日午前9時までに報告する。20日が週末あるいは祝日の場合は翌営業日に公表される。

また、これまでの1年物LPRに加え、5年物とそれよりも長い期間のLPRも公表する。期間が1年未満と1─5年の融資の金利をどのように設定するかの決定権は引き続き銀行が持つ。

LPRは銀行が新たに融資する場合の参照金利となる。まだ満期を迎えていない融資は引き続き基準金利に連動する。

<なぜ今改革するのか>

中国では長い間、銀行融資に関する政策手段として、指標である銀行預金・貸出基準金利と市場金利の両方を用いてきた。

政府はここ数年で金利自由化を進めてきたきたが、市中銀行はなお貸出基準金利に基づき融資金利を設定しているため、人民銀による企業の調達コスト押し下げの取り組みが阻害されてきた。人民銀はこれまでに2つの金利を「統合」すると宣言してきた。

<新LPRの効果には限界も>

市場では、今回の金利改革は経済活性化のほか、実物経済の調達金利の事実上の引き下げを狙ったものだと市場では捉えられている。

ただ、一部のアナリストは市中銀行が金融・経済のリスク増大を踏まえて融資業務でリスク回避姿勢を強くすることにつながると予想する。

野村(香港)の中国担当チーフエコノミスト、陸挺氏は「人民銀がMLF金利や他の準政策金利を引き下げる誘因はさらに増えると予想するが、融資の伸びに限界があり、銀行が脆弱であるため、人民銀が銀行の融資金利を押し下げる余力はかなり限られていると考える」と指摘。

「人民銀は借り入れコスト押し下げと金融安定維持の両方を果たすために厳しい道を歩まざるを得ない」と続けた。

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