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焦点:中国中小銀が銀行間の資金調達に依存、信用収縮に懸念も

[香港 8日 ロイター] - 中国の中小銀行が投資やシャドーバンキング(影の銀行)融資の資金を調達するため、銀行間の短期金融市場への依存を強めている。市場が不安定化すれば信用収縮を招きかねないとして、当局はより安定的な資金調達を促し始めた。

 9月8日、中国の中小銀行が投資やシャドーバンキング(影の銀行)融資の資金を調達するため、銀行間の短期金融市場への依存を強めている。写真は光大銀行。北京で2014年12月撮影(2016年 ロイター/Kim Kyung-Hoon/File Photo)

中国外国為替取引システム(CFETS)のデータによると、今年6月までの3四半期連続で、銀行間市場の取引高で中小銀行が約半分を占めた。中国農業銀行601288.SS、中国工商銀行601398.SSなど4大銀行の割合は20%未満で、残りはブローカーや証券会社だ。

大手銀が主に安定的な資金源である預金を元に融資を実行しているのに対し、中小銀はここ1年で銀行間での資金調達を積極化し、それを投資のほか、リスクは高いが利ざやの大きいシャドーバンキング融資に充てている。

これらの投融資が失敗して中小銀行が流動性危機に直面した場合、既に多額の不良債権を抱える中国の金融システム全体に余波が広がりそうだ。

キャピタル・エコノミクス(シンガポール)の中国エコノミスト、ジュリアン・エバンスプリチャード氏は「中小銀行は現在、以前よりずっと脆弱になっているようだ。多額の資金をシャドーバンキングにつぎこんでいる」と話す。

光大銀行601818.SSの場合、今年前半に投資総額が39%増えて1兆3000億元(1947億ドル)と、ポルトガルの国内総生産(GDP)並みに達した。融資は12.3%増。

銀行からの預金と銀行間市場での資金調達は33%増えたが、顧客預金は9.2%の増加にとどまっている。

<人民銀行のジレンマ>

CFETSのデータによると、銀行間取引の97%は翌日物か7日物で占められている。

トレーダーによると、中国人民銀行(中央銀行)は先月、より金利の高い期間14日のレポの利用を増やすよう、銀行に指導した。銀行が短期の資金調達への依存を強めているのを懸念したためだ。

中堅銀行の資金部幹部は、こうした政策により「短期の資金調達コストが影響を受けるだろう」と指摘。銀行間短期金利が恒久的に上昇すれば、銀行の利ざやは圧迫されるとの懸念を示した。

人民銀行は、短期借り入れへの過度な依存をやめさせたい一方で、

信用収縮が起こることも警戒しており、ここ数日は短期金融市場に潤沢な資金供給を行っている。

NSBO政策研究所(北京)のジョナス・ショート所長は「(人民銀の)意図は流動性ショックを引き起こさないことだが、(レバレッジの)リスクを抑えたいとも望んでいる。これらを円滑に進めようとしているのが現状だ」と話した。

(Sumeet Chatterjee記者)

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