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アングル:少子化進行の中国、子育てにかかる費用とは

[北京 1日 ロイター] - 中国政府は5月31日、1組の夫婦が最大3人までの子どもを持つことを認めることを発表した。最近のデータにより、世界で最も人口の多い中国で出生数が劇的に減少していることが示されたことを受け、子どもを2人までに制限していた政策を大きく変更する。

 中国の都市部では育児のための費用が上昇しており、夫婦の多くが子どもを持つことをちゅうちょしている。写真は6月1日、上海のショッピングモールで撮影(2021年 ロイター/Aly Song)

中国の都市部では育児のための費用が上昇しており、夫婦の多くが子どもを持つことをちゅうちょしている。2016年に中国政府が「1人っ子政策」を撤廃したが、それにもかかわらず、出生率は女性1人当たりわずか1.3人に低下した。

では、中国の大都市で子どもを育てようと思ったら、どれくらい費用がかかるのだろうか。

<出産費用>

中国の公立病院で出産する場合は、妊娠期の検査や分娩時を含め、費用は国の保険でカバーされるのが普通だ。だが、公立病院のリソースがひっ迫しているため、民間のクリニックを頼りにする女性が増えており、こちらでは10万元(約172万円)以上の料金を請求される。

裕福な家庭では、出産後1カ月間、母親と新生児の世話をするために「月嫂」と呼ばれる専門のベビーシッターを雇うのが通例であり、その費用が約1万5000元かかる。中国では所得水準の向上に伴い、産後まもない母親が専門的な診療やサービスを提供する分娩後診療センターに集まるようになっているが、これも費用は高い。北京市内の王府井地区にある施設の場合、月15─35万元だ。

<住居費・教育費>

オーストラリアとニュージーランドから輸入される粉ミルクを与える時期が過ぎ、幼児教育施設に送り出すようになると、裕福な親たちは、北京市内の海淀地区など、名門校のある地域でマンションを探す。このあたりの住宅コストは1平方メートル当たり平均9万元以上で、マンハッタンの価格の中央値に匹敵する。

「戸口」と呼ばれる居住許可がなく公立学校への入学資格が得られない子どもは私立学校に入学するが、年間4万─25万元の学費がかかる。

子煩悩な親の大半は1人しかいない子どもにお金を惜しみなく使い、個別指導の学習塾や、ピアノやテニスなどといった習い事に通わせる。

競争は非常に激しい。子育て世代のあいだでは「鸡娃」(「鶏の子」の意)という言葉がよく使われる。親が自分の子をいくつもの習い事に通わせ、精力を増すという「鶏の血」を子どもに注ぎ込んでいる、という趣旨だ。

家庭が負担する教育費を抑えることにより、子どもへのプレッシャーを緩和し出生率を引き上げるため、中国は活気を帯びる学習塾産業への締め付けを開始している。

上海社会科学院による2019年の調査報告書では、上海の高級地区である静安区で生活する平均的な家庭では、誕生から中学校卒業(通常15歳)までに、子ども1人あたり約84万元を支出している。そのうち、教育費だけでも51万元だ。

この報告書によれば、静安区・閔行区の低所得世帯(年収5万元以下)の場合、収入の70%以上を子どもに費やしているという。

<「寝そべる」態度>

1人っ子として多くの費用を投じて育てられたことによるプレッシャーだけでなく、いずれは両親の介護を期待されていることもあり、多くの若者は自分では子どもを持つことに腰が引けてしまっている。

ソーシャルメディアには、そうした若者の姿勢を捉えた新しい流行語が登場することも珍しくない。最近では、「寝そべる」という意味の「躺平」だ。これも流行語の「内巻(無意味な競争に巻き込まれた状態)」に悩まされる社会に対する幻滅感を表わす言葉である。

これ以前には、自虐的な敗北主義に浸る「喪」文化の台頭、そして若者の厭世的な態度を指す「仏系青年」という言葉もあった。

(翻訳:エァクレーレン)

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