June 7, 2018 / 7:38 AM / 14 days ago

焦点:苦境の中国鉄鋼業、新天地求めアフリカ・南米に熱視線

Manolo Serapio Jr and Muyu

 6月6日、中国にとって最大の鉄鋼輸出先である東南アジア向けの出荷量が2ケタの減少に沈む中、米国の新たな関税措置により一部の輸出先市場が完全に消滅する恐れが浮上している。中国・張家港の鉄鋼会社で4月撮影(2018年 ロイター/Muyu Xu)

[マニラ/北京 6日 ロイター] - 中国にとって最大の鉄鋼輸出先である東南アジア向けの出荷量が2ケタの減少に沈む中、米国の新たな関税措置により一部の輸出先市場が完全に消滅する恐れが浮上している。苦境に立つ中国の鉄鋼メーカーは、アフリカや南米で新たな輸出先を探している。

世界最大の鉄鋼生産国であり、最大の消費国、最大の輸出国でもある中国にとって、輸出先の選択肢が狭まっている。米政府は先週、同国への主要鉄鋼輸出国であるカナダとメキシコ、欧州連合(EU)に対して大幅な輸入関税を課した。これら相手国は、対抗措置を取る構えだ。

米国が3月、鉄鋼・アルミニウムの輸入制限をグローバルで発動したそもそもの目的は、中国製鉄鋼の輸入削減だ。その一部は第三国を経由して米国に輸入されていると米製鉄会社は主張している。

米商務省は先週、ベトナムから輸入される一部鉄鋼製品が中国産だとして、重い輸入関税措置を発表。ベトナムは、中国にとり韓国に次ぐ2番目に大きい鉄鋼輸出先であり、ベトナムに倉庫を持つ中国の製鉄会社にとって主要な販売先だ。

米国向け輸出品が懲罰関税の対象となる事態を避けるため、ベトナムは国内鉄鋼企業が、中国からの製鉄購入をやめる可能性があると指摘されている。

「中国メーカーの輸出機会がますます限定されつつあることが、一層明らかになっている。これは世界各地で導入された既存の通商法制の影響だ」と語るのは英国の鉄鋼コンサルタント会社MEPSインターナショナルの クリス・ジャクソン氏。

中国の鉄鋼輸出は4月、過去8カ月で最高の水準に達したが、今年1─4月の出荷量は2割下落した。ただ金額ベースでは2・5%の下落にとどまっている。

最大の輸出先であるベトナムや韓国向けが昨年以降2ケタの勢いで減少。ロシアなど他の輸出国との競争激化を反映している。

タイやベトナム、インドネシアやマレーシアなど東南アジアの輸入国が、中国製鉄鋼に反ダンピング税を課したことも、中国の輸出を減退させている。

<締め出し>

「東南アジア市場は込み合ってきた。南米やアフリカに新たな市場を探す業者が増えている」と、鉄鋼パイプを輸出する河北華洋鋼管の営業マネジャーSteven Yue氏は言う。「今年後半は、南米とアフリカの市場開拓により力を入れる計画だ」

南米とアフリカは、昨年の中国鉄鋼輸出の計8%を占めており、両地域の一部の国々向けの輸出は今年急増してる。

MEPSのデータによると、東南アジア向けは昨年の中国鉄鋼輸出全体の25%を占めているが、前年比では45%減少した。2018年第1・四半期にも、前年同期比で3分の1減少している。

アフリカ最大の経済規模を誇るナイジェリアは、同地域最大の中国産鉄鋼輸入国だ。同国向けの中国鉄鋼輸出は、第1・四半期に15%増加。経済規模第4位のアルジェリア向けは、3倍近くに膨らんだ。

南米では、ブラジル向け輸出が40%増加したほか、ボリビア向けは10倍近くに跳ね上がった。

世界貿易機関(WTO)のデータによると、アジア地域に比べて、ブラジルやコロンビア、チリや南アフリカなどを含めたアフリカ、南米両地域には中国鉄鋼製品に対して反ダンピング税やセーフガード措置を導入しているところは少ない。

中国の輸出企業が新たな市場開拓を進めるにつれ、ブラジルなどで国内サプライヤーと衝突する可能性が出るほか、ロシアなどのライバルと激突することも考えられる。

だが河北華洋鋼管のYue氏は、中国製鉄鋼がアフリカや南米で競争力があるのは、「現地の国内生産力が足りないためだ」と語る。

<大きなポテンシャル>

中国鉄鋼輸出は2015年に記録した過去最高の1億1240万トンから、2017年には7540万トンにまで下落。中国政府主導のインフラ計画によって国内需要が拡大したためだ。

それでも、中国鋼鉄工業協会は、米国との貿易摩擦が中国の鉄鋼輸出に与える影響を「過小評価するべきではない」と警戒する。

「鉄鋼輸出が今年再び減少すれば、鉄鋼製品が国内市場に流れ、われわれ自身の市況が悪化する」と同協会は先月指摘した。

中国から直接米国に輸出される鉄鋼は、全体の1%未満にすぎない。だが米国は、ベトナム経由で米国に輸出される鉄鋼にも厳しい関税を課すことで、中国産鉄鋼を米国内で割高にしようとしている。

ベトナムの鉄鋼メーカーは、主に熱間圧延鋼板(HRC)を中国から買い付けているが、米国の反ダンピング関税を回避するために、中国からのHRC輸入をやめる公算だと、ベトナム鉄鋼協会のChuDuc Khai副会長は語る。

ベトナムは昨年、鉄鋼470万トンを輸出し、その6割近くが東南アジア向けで、米国向けは約11%だった。

台湾の企業グループ、台湾塑膠工業集団(フォルモサ・プラスチック・グループ)が新たにベトナムに建設した鉄鋼工場が昨年6月からHRC生産を開始したため、中国から輸入する必要性が低下している、と同副会長は述べた。

ベトナムやインドネシア、マレーシアといった東南アジアの国々が鉄鋼生産能力を拡大しており、いずれ輸入需要は減退するだろうと、 コモディティ調査会社CRUのアナリスト、Alex Zhirui Ji氏は語る。

「私の友人の多くは、アフリカ諸国とのビジネスに切り替えようとしている。その方が、ポテンシャルも需要も大きい」と、中国最大の鉄鋼生産地・唐山を拠点とするある鉄鋼取引業者は話した。

「アジアでのビジネスが難しくなっていると感じる。私も新たな市場を探している。友人たちを追って、たぶんアフリカに行くことになるだろう」

(翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)

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