January 11, 2018 / 1:14 AM / 3 months ago

コラム:中国の対米「手詰まり感」、米債購入見直し報道で露呈

Christopher Beddor

[ニューヨーク 10日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国が米国との貿易戦争で果敢に振る舞うために使える手段には、見掛けほどの強力さはない。

ブルームバーグは10日、中国が米国債の購入縮小もしくは停止を検討していると伝えた。それは単に資産の分散投資が理由かもしれないが、トランプ政権が中国からの輸入製品に高関税を課すかどうか思案中というこの時期に、1兆2000億ドルという世界最大の米国債保有国である中国にも、相応の対抗策があるかのようにも見受けられる。ただし他の報復措置と同様に、米国債を手放せば結局、中国自身が高い代償を支払うことになる。

主要6通貨に対するドル指数は10日の外為市場で0.6%下落し、それがもたらす問題を浮かび上がらせた。つまり中国が米国債を売ればドル安が進み、同国の輸出競争力が阻害される。中国政府は他のドル建て資産を買って影響を和らげようとしてもおかしくないとはいえ、米国債ほど安全で流動性の高い証券を十分確保できるかどうかは分からない。米国債売却をほのめかせば、実際に売る際には下げ相場になっている恐れもある。

こうした米国債売却のコストは、より幅広いテーマに通じるところがある。すなわち中国は米国の制裁関税に報復するための手段は数こそ多いが、有効な政策はほとんどないということだ。

例えば2016年の米国から中国への輸出品の20%近くを占めた農産物を見てみよう。大豆や豚肉といった必需品に厳格かつ効力のある関税を課せば、米中西部の農家は打撃を受けるだろう。しかし同時に、中国国内の価格上昇も引き起こしかねない。逆により緩やかな原産地規則に基づいた関税を適用すれば、第3国経由で輸入されるだけになる。それは中国国内の価格を落ち着かせる半面、関税は概して形だけになってしまう。実際、専門家によると、中国が2010年に米国産鶏肉製品に課した関税は象徴的になってしまった。

トランプ政権が鉄鋼やアルミニウム、知的財産に関して近くまとまる調査報告書を利用して中国に関税を課すなら、中国は報復に動く公算が大きいのは間違いない。ただし過去の経験に基づけば、それはほとんど腹いせの類になるだろう。

1月10日、中国が米国との貿易戦争で果敢に振る舞うために使える手段には、見掛けほどの強力さはない。写真は北京で2017年11月撮影(2018年 ロイター/Thomas Peter)

むしろ最も痛烈な手段は、中国で活動する米企業に対する非公式な形での嫌がらせではないか。地元メディアは既に、アップル(AAPL.O)やボーイング(BA.N)などを叩くことを提案している。政府は官制の不買運動を仕掛けたり、不意の立ち入り検査、免許の不承認といった措置を打ち出せる。このような締め付けは、米企業幹部や投資家にとっては手痛い仕打ちとなる。一方で中国政府が立場の弱さを隠して、さも強腰であるかのように見せる新たな事例にもなるだろう。

●背景となるニュース

*ブルームバーグは10日、複数の中国当局者が米国債購入の縮小ないし停止を政府に提言したと伝えた。報道によると、当局者は米国債が他の資産より魅力が薄いと考えている。また米中の通商関係が緊迫していることも、購入を減らす要因になるかもしれないと指摘したという。

政府が提言を採用したかどうかは不明だ。

*鉄鋼やアルミニウムの輸入が米国の安全保障を脅かしていないかどうかについての調査報告書が、月内にトランプ大統領に提出される。中国の知的財産の取り扱いを巡る別の調査報告も早ければ今月中にまとまり、中国の消費家電に関税が設定される可能性があると一部で伝えられた。

    *筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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