[上海 2日 ロイター] - 中国がここ数週間にわたり基準値(中間値)CNY=PBOCの設定を通じて人民元安誘導に乗り出していることについて、市場では予想よりもはるかに積極的な動きになっているとの声がもっぱらだ。アナリストらは新興国通貨に対する元高を抑制することが狙いだと指摘している。
中国人民銀行(中央銀行)は4月半ば以降、一貫して対ドル基準値をトレーダーの予測モデルよりも元安に設定。人民銀が貿易加重ベースのCFETS人民元指数.CFSCNYIを安定させるために人民元相場を元安方向に動かそうとしているとの見方が強まっている。
基準値の元安設定が最近の米中貿易摩擦と直接的な関連があるとみる向きはほとんどいないものの、米国政府が通商問題で中国による為替操作を批判する中、中国政府にとっては敏感にならざるを得ない時期ではある。週内には米国の貿易代表団が北京を訪れる予定となっている。
一部の市場関係者は元安設定について、中国当局が24通貨のバスケットで構成されるCFETS人民元指数の上昇を制限しようとしていると指摘する。
招商銀行(上海)のシニア外為アナリスト、李劉陽氏は「中国政府はその他の新興国通貨に対して積極的に人民元を上昇させたくはないのだろう」と指摘。その他の新興国に対する中国の貿易競争力を維持する狙いがあるとみられる。
CFETS人民元指数がレンジ内に抑えられている場合、韓国ウォンやインドルピーといった新興国通貨に対して人民元が貿易上不利になっていないことを示唆する。
1週間に1度しか公表されないCFETS人民元指数は4月末時点で97.37と、2月前半以来の高水準となっている。
CFETS人民元指数における比重が最も大きいドルに対する人民元相場を元安方向に誘導することによって、人民銀行は同指数の上昇を抑制しようとしている可能性がありそうだ。
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