[上海 20日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)は20日、銀行貸出金利の指標となる最優遇貸出金利(ローンプライムレート、LPR)を据え置いた。据え置きは6カ月連続で、市場の予想通り。新型コロナウイルス感染拡大による影響から経済が持続的に回復している兆しが見られていることが背景。
1年物LPRは3.65%、5年物LPRは4.30%。
ロイター調査では27人中21人が据え置きを予想していた。
中国の新規・既存融資は主に1年物LPRに基づいており、5年物LPRは住宅ローン金利に影響する。
人民銀は景気支援のため、昨年8月に両LPRを引き下げていた。
バークレイズのアナリストはリサーチノートで「人民銀は今年上期に緩和的な姿勢を維持する見通しだ。ただ金利引き下げではなく、流動性関連の措置にとどまるだろう」と指摘。
「中国の金融政策は米国や欧州連合(EU)と異なる状態が続く。インフレが抑制される中、経済活動は回復しつつあるものの依然として弱く、上期の緩和余地をもたらしている」とした。
市場関係者は、人民銀が先週、1年物中期貸出制度(MLF)の金利を据え置いた上で、期日到来分を上回る資金を供給したことからLPR据え置きは予想の範囲内だったという。
MLF金利はLPRの指針として機能している。
ただ、一部のアナリストは3月の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)開催後に金利引き下げを予想する。
コメルツ銀行のシニアエコノミスト、トミー・ウー氏は「3月5日に開幕する全人代後、早ければ月内にMLF金利が引き下げられ、それに続いてLPRも引き下げられる可能性がある」と指摘。
「全人代ではマクロ政策支援が発表される見通しで、人民銀にとって金利を引き下げ、景気回復を支援する用意があるというシグナルを送るのに良いタイミングとなる」と述べた。
OCBC銀行のグレーターチャイナ調査責任者、トミー・シェー氏も、今後数カ月に金利引き下げを予想。
「内需低迷を受け、金融緩和は財政刺激策と協調して実施される見通しだ。金利が下がれば、国債発行コストを最小限に抑えることができる」とし、住宅ローン金利の低下はシステミックリスクの解消にもつながると語った。
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