August 5, 2019 / 5:26 AM / 20 days ago

人民元が11年ぶりに節目超える下落:識者はこうみる

[シンガポール 5日 ロイター] - 人民元相場は5日、対ドルで下落し、一時1ドル=7元台に乗せた。7元台まで下落するのは2008年の金融危機以降で初めて。これを受け、中国人民銀行(中央銀行)は、人民元相場を妥当でバランスの取れた水準で維持することができると確信していると表明した。

8月5日、人民元相場は、対ドルで下落し、一時1ドル=7元台に乗せた。写真は米ドルと人民元紙幣。5月撮影(2019年 ロイター/Jason Lee)

市場関係者の見方は以下の通り。

●明日の対ドル基準値に注目

<ING(シンガポール)のアジア太平洋担当チーフエコノミスト兼調査部門責任者、ロブ・カーネル氏>

次の人民元の対ドル基準値に注目している。基準値がきょうの相場を押し戻すような水準に設定されれば、中国当局は1ドル=7元台乗せを望んでいないと結論付けることができるだろう。しかしそうでなければ、元安は当局の対応の一環であることを意味するかもしれない。

香港で現在起きていること(抗議デモ)も、強い不安と不確実性をもたらしており、相場を圧迫している可能性がある。リスク回避の動きが多く見られる。

次に何が起こるかは非常に不確かだ。明日のことは明日まで待たないと分からない。

市場が驚いたのは、トランプ米大統領が通商協議終了の24時間以内に対中追加関税を課すと表明したことだ。これほど早く表明するとは誰も予想していなかった。

中国が次に取るべき行動を決めるのは非常に困難になっている。協議相手が決定に影響力を持つ人物であるか分からず、(大統領の表明を受けて)そのような人物ではないことが明らかになった。結局関税を課されるなら譲歩することは避けたいと考えるだろう。

●香港情勢、荒い値動きの一因 中国当局は市場に逆らわず

<ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)の為替戦略部門責任者、レイ・アトリル氏>

オフショア人民元市場は早い時間帯に1ドル=7元を試したが、対ドル基準値の設定は強い抵抗を示すものではなかった。

香港の状況がどの程度影響しているか分からない。香港でのストが流動性をどれだけ阻害しているかは不明だが、荒い値動きに関連している。中国当局が香港銀行間取引市場で流動性を絞ろうとしている兆しは見られない。為替を武器として使うというより単に市場の動きに逆らわないというのがわれわれの見方だ。

今はあらゆるものが売られている。当面は豪ドルとニュージーランドドルが新興市場国通貨の参照として取引されるだろう。市場でリスク資産の代替物であり続ける。オンショア・オフショア人民元の下落を食い止めるための強力な措置が取られない限り売りが止まるとは予想していない。

(米中の)貿易摩擦が近いうちに意味のある解決に至るとは考えていない。トランプ米大統領がひるむには2018年の「ミニクラッシュ」を繰り返す必要があるかもしれない。

●基本シナリオ以上の保護主義激化

<フィッチ・レーティングス>

中国の輸入品に対する米国の追加関税は、米国の保護主義が当社の基本シナリオ以上に激化していることを意味する。

関税の引き上げ、通商政策の不透明感増大といった傾向が広がる中、今回の動きは世界経済に対する相当な脅威となる。

関税自体の直接的・短期的な影響は限定的かもしれない。政策対応で影響を緩和できる可能性もある。

米中摩擦を解消できるか、見通しは依然不透明だ。中国はある時点で、例えば関税以外の措置で対応する可能性がある。また、追加の制裁関税が発動されれば、供給体制に衝撃が広がり、今後の見通しの確実性や企業心理に悪影響が及ぶ。そうした悪影響は金融緩和では相殺できない可能性がある。

●米への報復の証拠ない、7.10元超える元安予想せず

<MUFG(香港)の東アジア市場リサーチ責任者、クリフ・タン氏>

1ドル=7元台乗せは時間の問題だとみていた。

きょうは人民元の対ドル基準値が市場の予想よりやや元安水準だった。香港情勢を背景に流動性が低下していることもあり、7元超えの口実となった。

重要なのは、7元台に乗せたにもかかわらず当局が介入しなかったことだ。

中国が為替を貿易戦争の武器にしようとしているとの見方には異論を唱えたい。そうした証拠はみられない。中国はこれ以上トランプ大統領の怒りを買うことは避けたいだろう。

米中貿易摩擦に敏感な韓国ウォンが売り込まれており、台湾ドルも急落している。

中国当局が元安を容認するとの懸念が広がっているが、個人的には1ドル=7.10元を超える元安は予想していない。

●意図的な元安か、米関税への報復

<キャピタル・エコノミスクスの中国担当シニアエコノミスト、ジュリアン・エバンス・プリチャード氏>

1ドル=7元を超える元安は、おそらく意図的なものだろう。トランプ米大統領の関税発表後というタイミングと辻褄が合う。

関税に対する中国側の報酬手段の選択肢が多くない。米国債の売却や金属輸出の制限といった選択肢は、あまり強力なツールとは言えない。為替が最も強力なツールだ。

中国はかつては資本流出を抑制するために市場介入していたが、今は資本フローをはるかにしっかりと管理できる状態にある。

これまでは通商協議に配慮して介入してきたが、今回7元を超える元安を容認したことは、中国側がある意味で交渉を見限ったことを示している。

今回の元安が単なる威嚇射撃なのかを判断するため、7元を超える元安がどの程度続くかを見極めたい。7元を超える元安が続くなら、元は今後さらに大幅に下落する可能性がある。

*内容を追加しました。

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